カニといえば濃厚な蟹味噌が人気な毛ガニや、肉厚な身が魅力なタラバガニなどさまざまな種類が存在しています。
その中でも、沖縄などで獲れるノコギリガザミは、知名度こそ高くありませんが、甘みのある身が絶品です。
本記事では、あまり馴染みの深くないノコギリガザミの味や旬について解説します。
ノコギリガザミを食用として気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ノコギリガザミとは
ノコギリガザミは、ワタリガニ科に分類される食用カニで、甲幅は20cmに達する大きな体が特徴です。
日本では、房総半島以南の暖流に面する地域に分布しており、沖縄などを中心に捕獲されます。
大きな体をしているため、基本的に人間以外の天敵はいません。
和名は、甲羅の縁にノコギリのような突起がついていることに由来します。
また、各地で呼び名が異なるのも特徴で、ドウマンガニやエガニで親しみのある方もいるのではないでしょうか。
ハサミが大きく握力が強い
ノコギリガザミの見た目の特徴は、なんといっても大きなハサミです。
見た目の特徴通り握力が強く、その数値は800kgを超えるといわれています。
万が一挟まれてしまうと指が潰れてしまうため、調理する際は細心の注意を払うようにしましょう。
日本では3種類生息している
日本では、以下の3種類のノコギリガザミが生息しています。
- アミメノコギリガザミ
- アカテノコギリガザミ
- トゲノコギリガザミ
しかし、身体的や機能的な特徴に大きな差がないことから、すべての種を総称してノコギリガザミと呼ばれています。
オスの方が大きな爪
ノコギリガザミは、なんといっても大きな爪が特徴ですが、オスとメスで大きさに差があります。
メスの爪も決して小さくはないのですが、オスには及びません。
また、爪以外にもオスとメスを見分けるポイントがあります。
それは、甲羅の形です。
オスよりも、メスの方が丸みを帯びた扇形をしています。
そのため、ノコギリガザミは身体的な特徴からオスとメスを簡単に見分けられるでしょう。
ノコギリガザミの旬
カニは冬に旬を迎えるのが一般的ですが、ノコギリガザミは夏から冬にかけて旬を迎えます。
これは、漁獲量や産卵の時期に関係します。
夏が旬といわれるのは、オスの漁獲量が多いためで、秋から冬にかけていわれる旬は、卵を抱えたメスが多くなるためです。
そのため、ノコギリガザミは一般的なカニのシーズン外である、夏や秋などに美味しく食べられます。
ノコギリガザミはどんな味?
ノコギリガザミは、その特徴的な外見だけでなく、食用としても楽しめるカニです。
その身は甘みと旨みが豊かで、口の中でほろほろととろけるような食感が特徴です。
また、ノコギリガザミは、身だけでなく濃厚な蟹味噌も楽しめます。
さまざまな部位を味わうことで、ノコギリガザミの魅力を存分に堪能できるでしょう。
ノコギリガザミは内子も絶品!
内子とはカニの卵巣であり、メスしか持たない貴重な珍味です。
メスはオスに比べて身が少ないですが、内子を食べられるとしてオスに負けないほどの人気があります。
また、内子は濃厚な味わいとクセのある風味で、お酒やご飯にピッタリです。
ノコギリガザミのメスを手に入れたら、ぜひ内子も一緒に味わってみてください。
ノコギリガザミは自分で捕獲できる?
ノコギリガザミは、網で罠を仕掛けたりタモで掬ったりして捕獲できます。
さらに、釣りをしていると魚ではなくノコギリガザミが釣れてしまうケースもあります。
しかし、捕獲に関しては地域によってルールが設けられているため、必ず事前の確認が必要です。
また、強靭なハサミに挟まれると骨折したり指が切断されたりする場合もあるため、遭遇したら十分に注意を払いましょう。
ノコギリガザミのおすすめの食べ方は?
ノコギリガザミは「焼く」「蒸す」「茹でる」これらの方法で食べるのが一般的です。
それぞれの食べ方の特徴について確認していきましょう。
焼いて食べる
焼いて食べる方法の魅力は、なんといってもノコギリガザミの香りを存分に味わえる点です。
焼きがついた香ばしい匂いが食欲をそそるでしょう。
また、ホクホクとした食感も特徴で、一度口に入れたら止まらなくなる美味しさです。
ノコギリガザミの食感や匂いを味わいたい方は、ぜひ焼いて食べてみてはいかがでしょうか。
蒸して食べる
ノコギリガザミを蒸すことによって、旨みや甘みを逃さず、カニ本来の味を味わえます。
また、ノコギリガザミ本来の香りも強く出るでしょう。
そのため、濃厚な味わいや香りを楽しみたい方は蒸して食べるのがおすすめです。
しかし、蒸し時間が甘いと身が黒くなってしまう点には注意しなければいけません。
茹でて食べる
茹でて食べるメリットは、塩の下味が付いてより濃い味わいを楽しめる点です。
また、調理方法もシンプルなので手軽に調理できるのも嬉しいポイント。
しかし、塩加減を間違うと美味しさが損なわれてしまうので、塩分の調整には気を配るようにしましょう。
ノコギリガザミを調理する際の注意点
ノコギリガザミを美味しく調理するためには、以下の点に注意するようにしましょう。
- 神経締めをする
- 蒸す際は甲羅を下にする
- 捕獲したノコギリガザミは泥抜きが必要
それぞれの注意点について確認していきましょう。
神経締めをする
ノコギリガザミは、生きたまま茹でたり蒸したりすると驚いて自ら脚を切り離してしまう特徴を持っています。
この行為を自切りといい、自切りが起こるとせっかくの旨味成分が外へと流れ出てしまいます。
そのため、調理前には神経締めをして仮死状態にしておかなければいけません。
ノコギリガザミの口に鋭利なものを突き刺し、何度か回転させて確実に締めておきましょう。
蒸す際は甲羅を下にする
ノコギリガザミを蒸して調理する際は、必ず甲羅を下にして蒸すようにしましょう。
お腹を下にしていると、お腹の隙間から旨みが詰まった汁が逃げてしまいます。
美味しく調理するために、甲羅を下にすることを覚えておきましょう。
捕獲したノコギリガザミは泥抜きが必要
自ら捕獲してきたノコギリガザミは、体内に泥を持っているため、事前に泥抜きを行わなければいけません。
泥抜きをしなければ、食べた際に泥臭さを感じたり、じゃりじゃりした食感が残ってしまったりします。
泥抜きの方法は、綺麗な海水に1〜2日放置すればOKです。
このとき、海水が汚れてきたら適宜綺麗な海水に入れ替えましょう。
ノコギリガザミはどこで購入できる?
ノコギリガザミは、限られた地域でしか捕獲されない希少なカニであるため、一般的なスーパーなどで取り扱っているケースは少ないでしょう。
しかし、カニを扱っている通販サイトなら、全国どこにいてもノコギリガザミを購入できます。
そのため、ノコギリガザミを食べてみたい方は、一度通販サイトを覗いてみるとよいでしょう。
また、ノコギリガザミに限らず、さまざまなカニを扱っているおすすめのカニ通販サイトを以下の記事で紹介しています。
気になる方はこちらも併せてご覧ください。
関連記事:カニ通販で人気のおすすめ10サイトをランキング形式で徹底比較
ノコギリガザミの価格相場
冷凍のノコギリガザミなら1kgで4,000円〜5,000円程度が相場です。
しかし、通販サイトや時期、大きさなどによっても価格は変動するため、あくまで目安として認識しておきましょう。
ノコギリガザミの保存方法は?
ノコギリガザミの保存方法は、冷凍なのか生なのかといった状態によって異なります。
それぞれの状態の適切な保存方法についてみていきましょう。
生の場合
生のカニは、すぐに鮮度が落ちて変色してしまいます。
そのため、なるべく保存しなくてもいいように、早めに消費してしまうことが大切です。
それでも保存が必要な場合は、一度茹でてから保存するようにしましょう。
茹でている場合
茹でている場合は、水分が抜けないないようにラップや新聞紙で厳重に包み保存しましょう。
冷蔵庫で2日、冷凍庫なら3日程度は保存できますが、劣化が始まる前に消費してしまうことが大切です。
冷凍されている場合
冷凍されている場合は、ラップで包み冷凍庫で保存しましょう。
解凍していなければ2〜3週間は、保存できます。
そのため、冷凍カニは食べる分だけを解凍して、残る分は解凍せずに保存することが大切です。
ノコギリガザミを飼育できる?
ノコギリガザミは、食用だけでなく飼育用としても利用できます。
飼育するためには、干潟の環境を再現することが大切です。
また、体も大きく力も強いため、脱走しないように頑丈なケースで飼育しなければいけません。
さらに、冬場などで気温が15度を下回る場合は、ヒーターなどを使用して温度調節を行うことが大切です。
エサはサンマやアジの切り身を用意しましょう。
体が大きいため、飼育の難易度は高いですが、ポイントを抑えれば個人でも十分飼育可能です。
ノコギリガザミの寿命は?
長い個体であれば、3〜4年生きるとされていますが、一般的には1〜2年程度です。
ノコギリガザミは環境の変化に強いため、適切に飼育できれば寿命は伸ばせるでしょう。
ノコギリガザミの味についてのまとめ
今回は、強靭なハサミを持つノコギリガザミの味や旬について紹介してきました。
ノコギリガザミは、主に沖縄などを中心に捕獲される大型の食用カニです。
毛ガニやタラバガニなどの有名なカニと比べれば、食べる機会に恵まれないカニでもありますが、その美味しさは絶品です。
甘みと旨みの詰まった身と、ほろほろとした食感が病みつきになるでしょう。
しかし、800kgを超える握力を持っているため、調理の際は細心の注意を払う必要があります。
それでも、旨みの強いノコギリガザミの身は一度食べてみる価値があります。
機会があれば、ぜひ賞味してみてください。