アシハラガニの特徴は?飼育時のポイントについても解説!

アシハラガニは、日本の干潟や塩沼で見られるカニの一種です。

個人で捕獲できることから、飼育用のカニとして利用される場合もあります。

本記事では、そんなアシハラガニの特徴や飼育方法について紹介します。

また、食用として利用できるのかについても解説しているので、アシハラガニについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

アシハラガニとは

アシハラガニは、モクズガニ科に分類されるカニの一種で、左右同大の太くて丸いハサミが特徴的です。

東アジアの干潟や塩沼に生息しており、日本では本州以南に生息しています。

甲幅は3センチほどで、干潟に生息するカニの中では大型です。

甲羅は厚みがあり、わずかに横長の形をしています。

佐賀県ではシオガニと呼ばれるなど、地域によって呼び名が異なる場合もあります。

アシハラガニの生態

アシハラガニは、砂泥に巣穴を掘って生活しており、夜になると砂泥上で活発に活動を始めるのが特徴です。

食性は雑食性で、生ゴミからコメツキガニやチゴガニといった、干潟に生息するほかのカニを捕食することも。

夏に繁殖期を迎えるため、夏になると卵を抱えたメスを見られます。

また、寿命は数年ほどで、成熟するまでに2年かかるとされています。

アシハラガニの天敵

アシハラガニの天敵は、サギやシギなどの海鳥です。

天敵が現れると、巣穴に逃げ込んだり、ハサミを構えて威嚇したりするなどの防衛行動を取ります。

また、地に伏せて動かなくなることもあります。

アシハラガニの近縁種

アシハラガニの近縁種は以下の3種です。

  • タイワンアシハラガニ
  • ミナミアシハラガニ
  • ヒメアシハラガニ

アシハラガニには、かつて同じくアシハラガニ属であった近縁種が存在しています。

しかし、現在タイワンアシハラガニ以外の2種は、別族に分けられています。

タイワンアシハラガニ

タイワンアシハラガニは、褐色な体と丸く分厚い体が特徴です。

甲幅は2.5cmほどで、大きなハサミを持っています。

その特徴的なハサミを使って、干潟に棲むほかのカニを食べることも。

日本では、奄美大島以南の南西諸島に分布しています。

ミナミアシハラガニ

ミナミアシハラガニは、甲幅が2cm程度の小型のカニです。

丸みを帯びた体と濃褐色の体色が特徴です。

日本では、伊豆大島以南の西日本に分布しています。

アシハラガニと異なり、礫地や転石地を好み、巣穴の中で大半を過ごします。

ヒメアシハラガニ

ヒメアシハラガニは、甲幅が2cm程度の小型のカニです。

緑褐色の体色と全身に細かな白斑があるのが特徴です。

日本では、相模湾以西の西日本に分布しています。

アシハラガニよりも肉食で、チゴガニやコメツキガニなどの干潟に生息する小型種を捕食します。

アシハラガニの飼育方法

アシハラガニの飼育は決して容易ではありませんが、環境を整えてあげれば個人でも十分飼育可能です。

続いては、アシハラガニの飼育に大切なポイントについて紹介していきます。

アシハラガニの飼育を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

アシハラガニの飼育環境

アシハラガニは、常に水の中で暮らすわけではないため、飼育環境には陸地も必要です。

ほかにも、身を隠すための隠れ家を用意してあげると、アシハラガニが感じるストレスを軽減できるでしょう。

水槽に入れる水は、アシハラガニの全身が浸るほどの量が必要です。

また、生息域の環境に近づけるため、海水と淡水が混ざった水を用意する必要があります。

カルキ抜きした水と人工海水を1対1の割合で混ぜて用意しましょう。

アシハラガニの餌は?

アシハラガニは雑食性であるため、基本的にはなんでも食べられます。

しかし、似たようなエサを与え続けると、飽きて口にしなくなってしまうため、与えるエサに変化をつけることが大切です。

アシハラガニのエサとなるのは、以下のようなものです。

  • ザリガニのエサ
  • テトラのベジタブルスティック
  • じゃこやしらす
  • 魚の切り身

これらのエサをバランスよく与えるようにしましょう。

また、エサを与えすぎるのもNGです。

食べ残しは水質悪化の原因となるため、エサは必要な分だけ与えることが大切です。

ケガ美
水が汚れると水換えの手間が増えてしまいます!

混泳は基本NG

アシハラガニは、共食いの危険性があるカニのため、混泳は基本NGです。

それでも混泳させたい場合は、大きな水槽を用意したり、パーテーションで仕切ったりしてアシハラガニ同士の争いが起きないように注意する必要があります。

また、共食いは空腹時に起こりやすいため、エサを十分に与えてあげることも大切です。

さらに、脱皮直後はほかのカニに襲われやすいので、脱皮が始まったらほかの水槽に移し替えて隔離するようにしましょう。

アシハラガニは食べられる?

アシハラガニは、サイズが小さく可食部が少ないため、食用として利用されることはほとんどありません。

しかし、九州地方ではがん漬けと呼ばれる郷土料理に利用されることがあります。

がん漬けはカニを丸ごと潰して作る珍味で、ガリガリとした食感が特徴です。

塩や唐辛子などで味付けするため、独特の塩辛さがあります。

そのため、珍味好きな方は、アシハラガニを手に入れたらがん漬けに挑戦してみるのもよいでしょう。

アシハラガニ以外で飼育に向いているカニ

カニは、日本だけでも約1,000種類存在するといわれるほど、その種類は豊富です。

ズワイガニやタラバガニのように食用として利用されるカニもいれば、アシハラガニのように飼育用として利用されるカニも存在しています。

続いては、アシハラガニ以外で飼育に向いているカニについて紹介していきます。

サワガニ

サワガニは日本でもよく知られる淡水カニで、飼育用としても高い人気を誇ります。

日本各地に生息しており、手軽に捕獲できるのが特徴です。

水質の綺麗な川を好むため、飼育時には清潔な水を保つ必要があります。

そのため、水替えを2~3日に一度行うことが重要です。

小柄な種類のカニであり、初心者の方にも飼育しやすい品種です。

カニの飼育を始めてみたい初心者の方にとって、おすすめのカニといえるでしょう。

関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説

ドワーフクラブ

ドワーフクラブは、インドネシアに生息する淡水のカニです。

小型で飼いやすく、見た目が鮮やかで鑑賞にも適していることから、飼育用として非常に高い人気があります。

さまざまな種類が存在し、それぞれ体色や模様が異なることも魅力の一つです。

飼育環境を自由にレイアウトして、個性的な水槽を作って楽しむのもよいでしょう。

また、価格もお手頃で1匹約1,000円程度ですので、ぜひ一匹飼育してみてはいかがでしょうか。

関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方

スナガニ

日本各地の砂浜で存在を確認できるスナガニは、自ら掘った深い穴を住処にして生活しています。

そのため、飼育時には生息している砂浜と同じような環境を作ってあげることが大切です。

捕獲に関しては、警戒心が強く逃げ足が早いため簡単ではありません。

しかし、サイズも小柄のため、初心者でも飼育は難しくないため、海に出かけたら砂浜にいるスナガニを探してみてはいかがでしょうか。

関連記事:スナガニは飼育できる?長生きさせる飼育方法や捕まえ方について解説

アカテガニ

アカテガニは、ベンケイガニ科アカテガニ属に分類されるカニで、その名のとおり赤いハサミが特徴的なカニです。

食用として利用されることは少なく、美しい外見や個性的な行動を楽しむために飼育されることが一般的です。

アカテガニを飼育する際には、水換えや水温の調整など、適切な飼育環境を整える必要があります。

しかし、一般的な水槽で飼育が可能であり、大きな水槽は必要ないため、初心者でも手軽に飼育できるでしょう。

また、アカテガニは人間に対して威嚇するような行動を見せることがあり、その生態を観察することも楽しめます。

関連記事:アカテガニは飼育に向いている?飼育方法や手に入れ方について解説

モクズガニ

モクズガニは、淡水に生息する大型のカニです。

主に食用として利用され、濃厚な蟹味噌や内子は高い人気を誇ります。

また、生きたモクズガニを安価で購入できることから、飼育用として利用されるケースもあります。

しかし、体は大型で大きなサイズの水槽が必要になることから、飼育は簡単ではありません。

しかし、大きな体を動かす姿など、モクズガニの生態は面白いので、大型のカニを飼育してみたい方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

関連記事:モクズガニの飼育は難しい?長生きさせるポイントや注意点を徹底解説

キンチャクガニ

キンチャクガニは、オウギガニ科に分類される小型のカニです。

甲幅は約2.5cmで、甲羅の形は台形になっているのが特徴です。

護身用としてハサミに小さなイソギンチャクをつけており、敵から攻撃されると身につけたイソギンチャクの職種を広げて威嚇します。

このように、とてもユニークな生態を持つことから飼育用としても人気です。

見た目も可愛らしいので、カニの飼育で癒されたい方はキンチャクガニを購入してみてはいかがでしょうか。

関連記事:キンチャクガニの飼育方法は?エサや適切な水温について解説!

アシハラガニの特徴や飼育方法についてのまとめ

今回は、アシハラガニの特徴や飼育方法について紹介しました。

アシハラガニは、砂泥に巣穴を掘って生活するカニで、日本の干潟や塩沼に生息しています。

食用としてはあまり利用されませんが、自ら捕獲して観賞用として飼育するケースは珍しくありません。

サワガニのように小型のカニではないため、飼育難易度は低くありませんが、環境を整えてあげれば初心者でも飼育できます。

そのため、カニの飼育に興味のある方は、アシハラガニの飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。