生物である以上、どの生き物にも食物連鎖があります。
それは、硬い甲羅を持つカニも例外ではありません。
本記事では、カニの天敵について紹介します。
海のカニと川のカニではそれぞれ天敵も異なるので、どちらの天敵も確認していきましょう。
海に生息するカニの天敵は?
ズワイガニや毛ガニなど食用として利用されるカニは、多くの場合海に生息しています。
海に生息するカニは体も大きく甲羅も硬いため、天敵が少ないように感じるでしょう。
しかし、海にもカニの天敵は存在しているので、その一例を紹介します。
海の天敵1.タコ
海に生息するカニの一番の天敵は、タコです。
タコは、カニの硬い甲羅を砕く力はないように思うかもしれませんが、タコの足の中心にあるくちばしはとても強靭で、カニの甲羅を砕いて中の身を食べることも難しくありません。
特に世界最大のタコであるミズダコは、体長が3メートルを超えるため、サイズの大きなカニでも砕いて食べてしまいます。
しかし、一般的なタコはズワイガニや毛ガニなど大きい種類を捕食することはほとんどありません。
そのため、基本的には大人になる前の子どものカニや、脱皮直後で殻が柔らかいカニがターゲットにされます。
それでも、海に生息するカニはタコが一番脅威の天敵といえるでしょう。
海の天敵2.オオカミウオ
オオカミウオはオオカミウオ科に属する海水魚で、オオカミのように歯が鋭く恐ろしい顔つきをしていることから名づけられました。
鋭い歯で貝類や甲殻類を砕いて食べる習性を持っており、カニの頑丈な殻も砕いて食べてしまうのが特徴です。
1メートルを超える体長を持っていることから、比較的サイズの大きなカニでも捕食してしまいます。
獰猛な見た目をしていますが、性格は温厚で攻撃的ではないのも特徴の一つです。
海の天敵3.ほかのカニ
カニは共食いをする習性を持っているため、ほかのカニが天敵になる場合もあります。
特に、自分よりもサイズの大きな大型種は天敵になり得るでしょう。
また、脱皮直後で甲羅が柔らかい状態はとても無防備なので、多くのカニに狙われやすいのも特徴です。
これは、飼育下でも例外ではありません。
飼育下でも、同じ水槽に複数匹のカニを飼っていると共食いを始める可能性があるため、混泳させている場合は注意が必要です。
川に生息するカニの天敵は?
サワガニなど川に生息するカニは、海のカニと違ってサイズが小柄な傾向にあります。
そのため、さまざまな外敵から狙われることも多いでしょう。
続いては、川に生息するカニの天敵について確認していきます。
川の天敵1.オオサンショウウオ
オオサンショウウオは、日本の固有種で岐阜県以西の本州や四国、九州の一部に生息しています。
最大で全長150センチメートルにまで成長する大型の両生類です。
食性は肉食性で、魚類やカニを捕食するため、川に生息するカニにとっては天敵となります。
川の天敵2.ナマズ
ナマズは、ナマズ科に分類される肉食の淡水魚です。
食性は肉食であるため、カニを含む甲殻類や小魚、昆虫を捕食します。
ほかにも、カエルや亀などさまざまな生物を捕食するため、日本の淡水域の生態系では、食物連鎖の上位に位置するといわれています。
カニが天敵に狙われたらどうなる?
カニは天敵に狙われ生命の危機を感じると、自切と呼ばれる自衛行為を行います。
自切は自らのはさみや足を切り落とす行為で、体の一部を犠牲にして逃走する時間を稼ぐ手段です。
そのため、自然界だけでなく自宅で調理する際も自切が発生する可能性があります。
このように、カニは厳しい自然界で生きていくために、自らの体の一部を犠牲にする捨て身の習性を持っているのが特徴です。
関連記事:カニはなぜ自切する?調理中に自切を起こさないための対策も紹介!
天敵から身を守るために珍しい習性を持つカニ
カニは敵に襲われたら、両手を大きく広げて威嚇します。
しかし、キンチャクガニと呼ばれる種類のカニは、両手にイソギンチャクを身につけて威嚇する変わった習性を持っています。
威嚇する姿が、ポンポンをつけて応援するチアリーダーに見えることから、ポンポンクラブと呼ばれることもあるほどです。
このように、天敵から身を守るために独自の習性を持つカニも少なくありません。
カニの生態でよくある疑問
カニは食用として、日本で定番の食材です。
しかし、そんなカニの生態について詳しく知っている方は少ないでしょう。
続いては、カニの生態でよくある疑問について紹介していきます。
カニが脱皮するのはなぜ?
カニは、定期的に脱皮する習性があります。
この脱皮は、カニが成長するために不可欠な要素です。
脱皮することによって、今までの硬い甲羅を脱ぎ、柔らかくなった甲羅が硬くなるまでに成長することで、体が大きくなります。
そのため、カニが大きく成長するためには、脱皮を繰り返すことが必要です。
カニが脱皮する頻度は?
カニが脱皮する頻度は、成長するにつれて低くなります。
生まれてから時間の経過していないカニは、1年に2~3回程度の頻度で脱皮します。
一方で、大人のカニであれば1年に1回程度まで頻度は低くなります。
しかし、カニが脱皮する頻度はカニの種類によっても異なるので、すべてのカニがこの頻度というわけではありません。
カニの呼吸法は?
カニの呼吸法は、エラ呼吸です。
そのため、普段は水中で呼吸をしていますが、カニの中には陸上でも生活しているカニも存在しています。
カニが陸上でも呼吸ができるのは、体内に溜めておいた水を使って呼吸しているためです。
しかし、体内の水が乾燥して呼吸ができなくなる場合があります。
その際、口やエラを動かして呼吸をしようとしますが、空気も一緒に入ってきてしまうため、空気と水が混ざって泡となります。
この現象が、カニが泡を吹く理由です。
そのため、飼育しているカニが泡を吹きだしたら、酸欠を起こしている証拠なので、飼育水の量を増やすなどの対策を取るようにしましょう。
関連記事:カニが泡を吹くのはなぜ?泡を吹いたときの対策を紹介!
カニを茹でると赤くなるのはなぜ?
カニは茹でると赤くなるのが特徴です。
この赤みは、アスタキサンチンと呼ばれる赤色の天然色素が原因です。
このアスタキサンチンは、加熱することで結合しているたんぱく質と分離するため、本来の赤色に戻ります。
そのため、カニは赤いイメージがありますが、茹でる前は紫がかった茶褐色をしています。
取れてしまった足は再生する?
脱皮不全や自切などで足が取れてしまった場合でも、次の脱皮が来ると取れた足も再生します。
そのため、カニは脱皮をする限りはさみや足を失うことはありません。
しかし、カニが行う脱皮は回数に限りがあるため、これ以上脱皮を行えない状態で欠損してしまうと、再生はできません。
カニの寿命は?
カニの寿命は、種類によって大きく異なります。
日本各地に生息しており、日本人には馴染みの深いサワガニの寿命は5~10年です。
一方で、食用で利用される大型のカニであるタラバガニや毛ガニは15年以上生きるケースも珍しくありません。
このように、カニの寿命は種類によって異なりますが、飼育下では飼育環境によって寿命は大きく変わってくるでしょう。
カニはなぜ横歩きをする?
カニは脚の構造上、前後に素早く動くのが難しい生物です。
そのため、天敵に襲われた際など、素早く逃げるために横歩きで移動するとされています。
しかし、アサヒガニやミナミコメツキガニなど、前後に動くカニも存在しており、カニは必ずしも横歩きするわけではないのも特徴です。
日本でポピュラーなカニ4種
日本ではカニが食用としてよく利用されますが、一口にカニといっても日本では約1,000種類のカニが存在しています。
続いては、日本でよく食べられるカニを4種紹介します。
毛ガニ
毛ガニは、全身に毛が生えているのが特徴の食用カニです。
産地は北海道が有名ですが、能登半島周辺や宮城県沖などでも漁獲されています。
ズワイガニやタラバガニと比較すると体は小さいですが、その身はぎっしり詰まっていて高品質です。
特に、蟹味噌はとても濃厚で深い味わいを感じられるとして高い人気を誇ります。
贈り物としてもよく使われる、日本でも定番のカニといえるでしょう。
タラバガニ
タラバガニは、北海道以北からアラスカ湾にまで広く分布する食用の大型カニです。
カニの王様と呼ばれることも多いですが、実際はカニではなくヤドカリの仲間に分類されます。
太い脚にぎっしりと詰まった豊満な身は、食べ応え抜群です。
そのため、食感や満足感を楽しみたい方におすすめです。
焼きガニで食べると、タラバガニの魅力を存分に味わえるでしょう。
ズワイガニ
ズワイガニは、細長い脚をしている食用カニです。
深海に生息しており、脚を広げると70センチにもなる大きな体が特徴です。
甘みの強い身は、カニ本来の味を楽しむのに最適で、日本のカニの中でも高い人気を誇ります。
また、大きな脚を豪快に食べると、とても高い満足感を得られるでしょう。
さらに、蟹味噌も美味しいため、カニを食べる際はぜひ選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
花咲ガニ
花咲ガニは、タラバガニの仲間に分類される食用のカニです。
全身に棘が生えているのが特徴で、太い脚は身が詰まっているとして高い人気を誇ります。
また、漁獲量が少ないことから「幻のカニ」とも呼ばれています。
豪快な身が魅力で、焼きガニにすると食べ応え抜群です。
希少価値の高いカニなので、機会があればぜひ食べてみてはいかがでしょうか。
カニの天敵についてのまとめ
今回は、カニの天敵について紹介しました。
カニは海や川に多くの天敵が存在していますが、場合によっては同じカニから狙われることもあります。
特に、脱皮直後で無防備な状態は狙われやすくなります。
そのため、カニを自宅で飼育している方は、ほかのカニと一緒に混泳させることは注意するようにしましょう。