モクズガニの飼育は、初めての方にとってハードルの高いことかもしれません。
しかし、適切な知識とケアを行えば誰でも自宅でモクズガニを育てられます。
本記事では、モクズガニの飼育におけるポイントや注意点を詳しく解説します。
モクズガニを少しでも長生きさせるために、しっかりとした知識を入れておきましょう。
モクズガニの特徴
モクズガニはイワガニ科に分類されるカニで、食用として人気の高い上海ガニと同族異種です。
呼び名は日本各地で異なり、ズガニやツガネ、ツガニなどさまざまあります。
甲幅は7〜8cmほどで、川のカニとしては大型といえるでしょう。
また、ハサミに毛がびっしりついていることが、モクズガニの名前の由来です。
胸部腹甲と白い腹部以外の体色は、濃い緑色が入った褐色をしています。
食用では、発達した身と濃厚な蟹味噌が大変人気で、さまざまな料理に活用されているのが特徴です。
モクズガニの生態
モクズガニの成体は、夏の終わりから秋かけて淡水域の河川に現れます。
多くの個体は、繁殖に向けて秋から冬に海へと下っていきます。
そのため、モクズガニの成体は春から夏の終わりまで淡水域でいかけることはあまりないでしょう。
モクズガニの寿命
モクズガニの寿命は3〜5年程度です。
しかし、共食いや脱皮不全によって突然死んでしまうケースも少なくないため、実際には5年近く生きられるのはまれだといえます。
自宅で飼育する場合は、飼育環境を整えることによって、長く生きかせてあげられるでしょう。
食用としてのモクズガニについて
一般的に、モクズガニは食用として利用されています。
モクズガニは、発達したぷりぷりの身はもちろん、ウニのように濃厚な蟹味噌や、カニの卵巣を指す内子が人気です。
そのため、さまざまな料理に利用されて愛されています。
美味しく食べられる時期
モクズガニの旬は、9月下旬から11月にかけてです。
この時期が美味しいとされる理由は、メスのモクズガニが卵をたくさん持ち、内子が豊富に取れることに起因しています。
また、オスのモクズガニも11月に白子をたくさんつけ、サイズが大きくなるため、オスメスどちらも美味しく食べられます。
なお、早すぎる時期に捕獲されたモクズガニは内子の数が少なくなってしまうため、9月以前のモクズガニはあまりおすすめではありません。
美味しく食べる方法
モクズガニは、茹でて食べる方法が一般的です。
茹でることによって、モクズガニ本来の味を最も感じられます。
茹でた身に、内子や蟹味噌を合わせて食べると絶品です。
また、茹でたモクズガニを味噌で味付けして作る味噌汁も定番の料理です。
ぜひ、お好みの方法でモクズガニを調理してみてください。
モクズガニの飼育する方法
モクズガニを飼育したいと思っても、最初はなにから始めたらいいのかわからないかと思います。
続いては、モクズガニを飼育するために必要なことについて紹介していきます。
モクズガニを入手する
モクズガニを入手するためには、主に以下の方法があります。
- 河川で捕獲する
- ネットなどで購入する
それぞれの方法について見ていきましょう。
河川で捕獲する
モクズガニの捕獲は、市販の網を使って行います。
魚などモクズガニのエサとなるものをカニ網に入れて、河川に浸けて一晩様子をみましょう。
すると、網の中にモクズガニがかかっている場合があります。
このように、モクズガニの捕獲は網さえあればできますが、地域によってモクズガニ漁に関するルールが決められています。
そのため、モクズガニの捕獲は、定められたルールを必ず確認してから行うようにしましょう。
ネットなどで購入する
モクズガニはサイズも大きく、サワガニのように手軽に捕獲できるカニではありません。
そこで、もっと手軽に入手したいという方は、ネットなどで購入するとよいでしょう。
サイズによってその値段は変動しますが、安いものだと500円〜から購入可能です。
飼育環境を整える
まず、モクズガニを飼育するためには大きめの水槽が必要です。
また、モクズガニは水中で脱皮するため、脱皮しやすいようにある程度の水深を確保する必要があります。
そのため、底が深い水槽にするとよいでしょう。
さらに、水換えの手間を省くためにろ過フィルターなどを用意しておくことも大切です。
温度はどれくらいに保ったらいい?
飼育時の水温は、だいたい20度前後を維持すれば問題ありません。
しかし、直射日光が当たる場所や夏場は水温が高くなりやすいため、日陰や涼しい場所に置くなどして、飼育場所には注意するようにしましょう。
エサを用意する
モクズガニの食性は雑食で、基本的になんでも食べますが、その中でも生魚や貝、ミミズなどの生エサがおすすめです。
しかし、生エサを毎回用意するのも手間やコストがかかるため、ペットショップで売っている人口エサを与えるのがよいでしょう。
モクズガニの飼育時に気をつけること
モクズガニを飼育する際は、以下のことに気をつける必要があります。
- 共食い
- 脱走
- 脱皮不全
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
共食い
モクズガニはとても荒い気性をしているため、同じ水槽に複数のモクズガニを入れていると喧嘩から共食いを起こしてしまう可能性があります。
そのため、複数匹飼育する際は、水槽を分けるか、大きめの水槽にそれぞれの隠れ家を設置して、お互いをなるべく干渉させないようにしましょう。
また、お互いの相性が悪いと感じたら、すぐに別の水槽に移し替える方が安全です。
脱走
モクズガニは、設置したフィルターや置物を使って器用に脱走する場合があります。
そのため、水槽には蓋をつけて脱走しないようにしましょう。
しかし、完全に密閉してしまうと酸欠を起こしてしまうため、空気が入る穴を必ず開けておく必要があります。
脱皮不全
モクズガニの死因で多いのが、脱皮不全です。
モクズガニは、傷ついた部位を脱皮することによって補いますが、脱皮不全になると傷ついた部位を回復させられずに衰弱死してしまいます。
そのため、ほかのモクズガニと一緒の水槽で飼育している場合、ストレスなく脱皮ができるように、脱皮が始まったら別の水槽に移し替えるようにしましょう。
また、脱皮直後は殻が柔らかく脆いため、ほかのモクズガニに食べられてしまう危険性があります。
脱皮が終わっても、甲羅が硬くなるまでは隔離を続けることが大切です。
モクズガニは家で繁殖させられる?
モクズガニは、繁殖期を迎えると海に下りて交尾をする習性を持っています。
そのため、モクズガニを自宅で飼っている以上繁殖はできません。
モクズガニのほかに飼育に向いているカニ
モクズガニは、体が大きく飼育のハードルが高い種類ですが、手軽に飼育できるカニも存在しています。
以下のカニたちは、飼育コストもかからず初心者におすすめです。
- サワガニ
- ドワーフクラブ
- スナガニ
- アカテガニ
それぞれのカニの特徴について確認していきましょう。
サワガニ
サワガニ科に分類されるサワガニは、小さな体と日本に広く生息していて捕まえやすい手軽さから、飼育用のカニとしてとても人気があります。
大きな水槽も必要なく、飼育コストがかからないため、初心者の方におすすめのカニです。
しかし、暑さに弱く夏場は涼しいところに移動させるなど温度管理をしっかりしたり、綺麗な水を保つためにこまめな水換えを怠らないようにしたりしなければいけません。
これらの飼育条件をクリアできれば、長くペットとして飼うことができるでしょう。
関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説
ドワーフクラブ
ドワーフクラブは、インドネシアに生息している小型のカニです。
種類が豊富で、体の色もそれぞれ異なるため、鑑賞用として最適なカニといえます。
性格も温厚で、大きな水槽も必要としない点からも初心者に人気で、おしゃれにレイアウトして、お部屋のインテリア代わりにもできるでしょう。
ペットショップやネットなどから購入でき、1匹1,000円程度が相場です。
関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方
スナガニ
スナガニは、東北地方以南の水の綺麗な砂浜に生息しており、数十〜1m近い穴を掘って生活しています。
海水浴に行った際などに、波打ち際で円形の穴が開いているのを見かけたことがあるかと思います。
それが、スナガニが自ら掘って作った巣です。
スナガニは、海水が染み込んだ深い砂など、自然で生活している状態と同じような環境が用意できれば、自宅でもペットとして飼育できます。
しかし、逃げ足がかなり早いため、捕獲する際は、穴を掘って巣にいるスナガニを捕まえることが大切です。
関連記事:スナガニは飼育できる?長生きさせる飼育方法や捕まえ方について解説
アカテガニ
アカテガニは、その名のとおりハサミ部分が真っ赤なカニで、主に食用ではなく鑑賞用として利用されます。
こまめな水換えや温度調整など、常に飼育環境を整えなければいけませんが、大きな水槽も必要なく飼育コストがあまりかからないのが嬉しいポイントです。
また、人間が近づいたら威嚇をするなど、生態観察をするのも面白いカニだといえます。
関連記事:アカテガニは飼育に向いている?飼育方法や手に入れ方について解説
モクズガニの飼育についてのまとめ
今回は、モクズガニを自宅で飼育するためのポイントや注意点について紹介してきました。
モクズガニはほかの観賞用カニと比較しても体が大きいため、大きな水槽で飼育する必要があります。
また、縄張り意識が強く共食いをしてしまう習性があるため、なるべく1匹で飼育することも大切です。
このように、モクズガニの飼育は難易度が高いですが、正しい環境で育てれば長く生きてくれるでしょう。
モクズガニの飼育に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてもらえれば幸いです。