ブランド蟹とは?認知度、美味しさで一番はどれ?

「毎年冬になると食べるもの(食べたいもの)」といえば「カニ」と答える人は多いでしょう。
最近では「ブランド蟹」と呼ばれるカニが増え、「タグ付き」のカニはかなり高額で販売されています。ブランド蟹とはどのようなカニのことをいうのでしょうか。また、どのブランド蟹が最も食べられているのでしょうか。
この記事では、数あるブランド蟹の中でどれが一番知られているのか、どのカニが一番美味しいのかを徹底解説します。

 

ブランド蟹とは?

ブランド蟹とは、水揚げされる地域や漁港によって「越前がに」や「加能がに」のように異なる名前で販売されているカニのことで、種類でいうとほとんどがオスのずわいがにです。
ブランド蟹に認定されるには、地域によってサイズなどの厳しい条件が設けられており、条件をクリアしたカニはその証として「タグ」を付けられ、ブランド蟹として販売されます。
このタグは、地域によって色や形が異なり、文字で漁港名やかに漁船名等も記載されているので、どこで水揚げされたカニか、すぐ分かるようになっています。

 

一番有名なブランド蟹

ブランド蟹は地域により異なる名前がつけられているため、認知度にもかなり差があります。
阪急交通社が全国の20代以上の男女561名を対象に行った「カニについてのアンケート調査」によると、最も認知度の高いブランド蟹は「越前がに」、次いで「松葉がに」という結果でした。
この結果がそのままカニの美味しさの順位かというと、そういうわけでもありません。
なぜなら、それぞれのブランドの対象エリアの大きさが異なるため、品質の高いカニでも「狭い地域のブランド蟹の認知度は上がりにくい」傾向があるからです。
参考:阪急交通社「カニに関するアンケート調査」

 

代表的なブランド蟹の味の特徴とは

ブランド蟹の味にはそれぞれ特徴があります。それぞれ美味しいカニですが、食べる人の好みによってどのブランド蟹を美味しいと感じるかは異なるでしょう。
人の体が食べたものや環境によって変化するのと同じで、カニの味も環境や餌によって変化します。
では、それぞれのブランド蟹は、環境などの理由でどのような味わいに成長するのでしょうか。
ご紹介する代表的なブランド蟹の特徴から、好みの味のブランド蟹を探してみましょう。

 

1位|越前がに(福井県)

ブランド蟹の認知度で1位になった「越前がに」は、福井県の漁港で水揚げされたズワイガニのオスのことです。福井県沖の海底に広がる水温0~2度の砂泥は、カニの生育に最適とされています。
そこで獲れる越前がには、ズワイガニの高級品種とされており、甘い身が特徴です。さらに重さ1.3kg、甲幅14.5cm、爪幅3cm以上ある越前がにには、「極」のタグが付けられます。
また越前がには地域の財産として国に認められており、全タグにGI(※)マークが表示されます。※GI:国が農林水産物や食品を地域の知的財産として保護する制度

越前がにのブランド|極(きわみ)

越前がにの中でも、茹でる前の重量が1.5kg以上、茹でた後の重量が1.3kg以上、また甲羅の幅が14.5cm以上で爪の幅が3cm以上という条件に加え、姿形の美しさ、甲羅の硬さ、生きているかどうかなどの厳しい基準をクリアしたもののみ「極」の称号が与えられます。巨大な越前かに極を前にすると、ただただ感動し言葉が出ないそうですよ。ちなみに極の価格は軽く100万円を超えます。

 

2位|松葉がに(鳥取県、島根県)

2位の「松葉がに」は、越前がにと同じズワイガニですが、山陰地方(鳥取県、島根県)で水揚げされたオスのズワイガニのことを指します。
「松葉がに」の「松葉」の語源は地域名ではなく、細い足が松の葉をイメージさせる細い足からきている、という説が有力です。
松葉がには上品な甘味と奥深い旨味が特徴で、カニ特有の臭みやクセが少ないため人気があります。おすすめの食べ方は、焼きがに、かに刺し、茹でがに、かにすき、かにしゃぶです。

松葉がにのブランド|五輝星(いつきぼし)(鳥取県)

2015年に誕生したブランド松葉がに「五輝星」は「5つのトップ基準を満たすかに」を意味します。
5つのトップ基準とは、「甲羅の幅が13.5センチ以上」「1.2kg以上の重量」「脚が全てそろっているもの」「鮮やかな色合い」「身がしっかり詰まっていること」です。
※重さの基準は、市場での販売時点(生の状態)のものです。

 

3位|香住ガニ(かすみがに)(兵庫県)

3位の「香住ガニ」は兵庫県の香住漁港で水揚げされる紅ズワイガニのことです。
養分が豊富な海洋深層水で育つ香住がには、甘味が強く、みずみずしいのが特徴です。
また、紅ズワイガニは他のズワイガニよりも深い場所に生息するため、海底にかごを沈めて獲るかにかご漁で収穫されます。
ゆでガニだけでなくかに鍋、焼きがに、かに刺しなど、さまざまな調理法で味わえますが、漁獲量が多いため松葉がによりリーズナブルなのもうれしいポイントです。

香住がにのブランド|香住プレミアム

香住がにの中でも、1.4kg以上(ずわいがにの標準サイズの 1.5~2倍)で、見た目も美しく足も揃った最上級品のものを香住プレミアムといいます。
条件をクリアした上で漁師、仲買い、漁協すべてが認定すれば、プレミアムタグが付けられます。
香住プレミアムは、3,000枚に 1枚あるかどうかという、大変貴重なカニで、お金を払えば入手できるというわけではありません。香住プレミアムは、最上級といわれる「番ガニ」よりもさらに上のランクとされています。

 

4位|間人がに(たいざがに)(京都府)

「間人がに」は、丹後半島の山からミネラル分を含んだ水が流れ込む間人沖で獲れるズワイガニのことで、「幻のカニ」ともいわれています。
間人がにの特徴は、他のずわいがにと比べて足が長くスタイルが良いこと。そのため、間人がにが網にかかると、脚が折れてしまわないように網を切って競りに出すという話です。
また漁港から沖までは最短で約1.5時間という近さに間人がにの好漁場があり、日帰りでの漁が可能なため、抜群の新鮮さを誇ります。
間人がにには、船上で「間人がに」の文字と船名を刻印した緑色のタグが付けられます。

間人がにが「幻のカニ」といわれる理由

間人がにの水揚げされる間人港は小さな港で、小型船は 5隻のみです。(愛新丸、大有丸、蓬莱丸、海運丸、協進丸)
間人ガニ漁が許されているのがこの5隻だけで水揚げ量がとても少なく、希少価値が高いため「幻のカニ」といわれています。

 

その他のブランドがに|黄金がに(福井県)

黄金がには、松葉がに(ずわいがに)と香住がに(紅ずわいがに)のあいのこのカニで、1,000匹に1匹ほどの割合で水揚げされる「幻のカニ」です。
体色が黄色に近いオレンジ色をしており、希少なことから高い値段がつきます。
黄金がには、身がしっかり詰まっているずわいがにの特徴と、紅ずわいがにの特徴である甘みのある味わいをあわせ持っているのが特徴です。
味噌もクセがなくさっぱりした口当たりでありながら、奥深い味わいも感じられます。

 

その他のブランドがに|柴山かに(兵庫県)

「柴山がに」は、兵庫県の柴山漁港で水揚げされた「ブランドずわいがに」のことです。山陰地方では「香住ガニ」「津居山がに」「間人ガニ」といったブランドがにが水揚げされ、柴山漁港でもそれらのブランドがにに匹敵するカニが水揚げされていました。
しかし柴山漁港では世界一ともいわれるほどランク分けが細かく、「柴山かに」の定義づけが困難だったことから2003年までブランド化ができずにいたのです。
現在では柴山漁港に水揚げされる上位ランクの松葉がにに「柴山かに」を表すピンク色のタグが付けられています。
柴山かには、繊細な食感と甘みのある味わい、香りの良さが特徴です。

 

全国で最もカニを食べているのはどこの市?

総務省統計局の「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2019年(令和元年)~2021年(令和3年)平均)」で、一世帯あたりのカニへの支出額を見てみると、1位の鳥取市が5,291円、2位が福井市の3,899円、3位が金沢市の3,293円となっています。
やはり、美味しいカニが獲れる場所では、たくさんカニを食べていることが分かりますね。
ちなみに数量でみると、1位は同じく鳥取市で1.9kgですが、支出で2位だった福井市は929gで5位となっています。福井市の人は価格の高いカニを買っている、ということなんでしょうか。
ご自分が住んでいる市の結果に興味があれば、こちらから確認できますよ。
参考:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2019年(令和元年)~2021年(令和3年)平均)」

 

カニはどうやって食べるのがおすすめ?

カニ好きな人たちは、普段どのようにしてカニを食べているのでしょうか。
前述のアンケートによると、カニの食べ方として「ゆでる」と答えた人が最も多かったです。
この答えにはかなり地域差があり、東日本に住んでいる人の6割~8割が「ゆでる」と回答していますが、西日本では「ゆでる」の1位は変わらないものの「鍋」と回答する人が同じ位に増えます。
とくに大阪周辺では、「カニすき」のお店が多いからか、カニを「鍋」にして食べる割合が高くなります。

 

ブランド蟹の美味しさや、人気の食べ方について紹介しました。ここまで読んで頂いた方は「美味しいカニが食べたい」という気持ちがますます強くなったのではないでしょうか。
実はこの記事で認知度1位として紹介した「越前がに」が食べられるお店の過去記事もございます。
ぜひこちらの記事も併せて読んでみてください。

過去記事:「福井で越前がにを食らいつくす|名店から人気店まで」

 

また、ご自宅で美味しいカニを取り寄せて食べるのも良いですね。過去記事では、「おすすめのカニ通販」を紹介していますので、ぜひそちらの記事も併せてお読みください。

過去記事:「カニ通販でズワイガニを買うなら絶対毛ガニ通販ウオス水産卸直営店!」

 

まとめ

ブランド蟹は、それぞれの地域や漁港で設けた基準をクリアして初めて認められるものなんですね。
一般のカニと比べてかなり高値になっているものもありますが、実際にブランド蟹を食べた人はその美味しさに感動し、毎年カニ漁が解禁になるのを楽しみにしているそうですよ。
この記事でブランド蟹に興味を持たれた方はぜひ一度ブランド蟹を食べてみてはどうでしょうか。
きっと、その旨さに感動すると思いますよ。