全身を毛で覆われたカニと聞いて、最初に思い浮かぶのは毛ガニでしょう。
しかし、毛ガニの比じゃない毛に覆われたカニも存在しています。
それが「ケブカガニ」です。
名前からして毛深そうですが、ケブカガニはどのような特徴を持ったカニなのでしょうか。
本記事では、ケブカガニの特徴について紹介します。
珍しいカニに興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
ケブカガニとは
ケブカガニは、甲幅が3センチ程度の小型のカニです。
毛ガニのように体が長い毛で覆われている外見が最大の特徴です。
そのため、漢字では「毛深蟹」と表現されます。
ケブカガニは主に珊瑚礁や岩礁に生息しており、日本では相模湾から鹿児島県、九州北部・西部に分布しています。
また、海外ではインドから西太平洋にかけても見られます。
その独特な外観と名前から、存在を覚えやすいカニともいえるでしょう。
ケブカガニの仲間にはどんなカニがいる?
ケブカガニの仲間に分類されるオウギガニ科ケブカガニ属のカニには、以下のような種類が存在しています。
- ヒメケブカガニ
- アシナガケブカガニ
- オオケブカガニ
- スベスベケブカガニ
どの個体も体毛が濃いのが特徴ですが、スベスベケブカガニのように体毛の薄いケブカガニがいるのも面白いポイントです。
ケブカガニは食べられる?
ケブカガニは毒を持つ可能性があるため、食用としては利用しないようにしましょう。
ケブカガニは、スベスベマンジュウガニやウモレオウギガニといった毒を持つとカニ同様の毒性を持つと考えられています。
そのため、同じ毛に覆われたカニである毛ガニと同じ感覚で食べると痛い目を見る羽目になるでしょう。
ケブカガニの飼育方法
ケブカガニは、食用としては利用されませんが、飼育用として利用されるケースが多々あります。
実際、通販サイトで飼育用のケブカガニが売られています。
続いては、ケブカガニを自宅で飼育する方法について確認していきましょう。
水槽・飼育環境
ケブカガニを飼育する水槽は、ケブカガニ自体のサイズが小さいため小型で問題ありません。
また、水槽内の水温は20〜27℃くらいを保つようにしましょう。
水質が綺麗な場合は30℃近くの水温でも平気ですが、水温が高すぎたり低すぎたりすると弱ってしまう原因になります。
そのため、夏場や冬場はクーラーやヒーターをつけて水温を一定に保つようにしましょう。
隠れ家・エサ
ケブカガニは、ライブロックやサンゴ岩に隠れる習性があるため、隠れ家となる場所を用意することが大切です。
隠れ家がないと、細かなストレスが蓄積して早死にしてしまう危険性があります。
また、ケブカガニは雑食性として考えられているため、基本的にはなんでも食べます。
手軽なエサとして、市販されているザリガニのエサなどを与えてみるとよいでしょう。
魚との混泳
ケブカガニは、小さな魚であれば襲ってしまう可能性があります。
また、種類によってはカニを食べる魚もいるため、逆に魚に食べられてしまう危険性もあります。
そのため、基本的には水槽を分けて飼育した方が安全に飼育できるでしょう。
ケブカガニ同様毒のあるカニは?
ケブカガニは毒性を持つと考えられているため、毛ガニのように調理して食べることはできません。
では、ケブカガニ同様毒を持つカニにはどのような種類がいるのでしょうか。
それぞれの特徴について確認していきましょう。
スベスベマンジュウガニ
スベスベマンジュウガニは、甲幅が5センチ程度の中型のカニです。
名前のとおり滑らかな半球型の甲羅を持ち、体色は赤褐色から紫褐色で、ハサミの先は黒色をしています。
主に海藻や貝類、ゴカイを好んで食べる夜行性の生物です。
日本では千葉県から沖縄県に分布しており、生息域は水深100mにまで達します。
そんなスベスベマンジュウガニは、強力な毒を持っており、食べると中毒を引き起こす可能性があります。
日本での死亡事例はまだ報告されていませんが、決して捕獲して食べないように注意しましょう。
ウモレオウギガニ
ウモレオウギガニはオウギガニ科に属するカニで、猛毒を持つとして知られています。
甲幅は8センチ程度の中型で、南西諸島が主な生息地です。
ウモレオウギガニは全身に麻ひ性貝毒を含んでおり、食べると食中毒が発生する可能性があります。
実際に死亡事例も報告されています。
そのため、ウモレオウギガニは絶対に食用として摂取しないようにしましょう。
ツブヒラアシオウギガニ
ツブヒラアシオウギガニは、サンゴ礁で見られるカニです。
甲幅は5センチ程度の中型で、粒々の甲羅が特徴的です。
ツブヒラアシオウギガニは、体内に猛毒であるテトロドトキシンや麻ひ性貝毒を蓄えており、食べることで食中毒を引き起こす可能性があります。
日本でも発症事例がある危険なカニであるため、間違っても食べてはいけません。
初心者でも飼育できるカニは?
ケブカガニは飼育に適したカニとして紹介しましたが、一般的な知名度は高くないため、初心者が育てるのは少し苦労するかもしれません。
そこで、カニを自宅で飼育してみたい初心者におすすめなカニを3種類紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
サワガニ
サワガニは日本固有のカニで、北海道と沖縄を除くほぼ全国に分布しています。
甲幅が2~3センチ程度の小型で親しみやすいカニです。
サワガニは食用として利用されることもありますが、小柄なサイズやエサの手軽さが比較的初心者にも飼育しやすいため、観賞用としても愛されています。
また、サワガニなら川で手軽に捕獲できる点もほかのカニと比べて手軽です。
サワガニは水質のきれいな川で生息しているため、水が澄んだ川を見つけてたら岩や石の下を覗いて探してみてはいかがでしょうか。
関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説
スナガニ
スナガニは、甲幅が3センチ程度の小型のカニです。
日本国内では東北地方以南に分布しており、海辺の砂浜に生息しています。
そのため、海水浴の際に見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
スナガニを飼育する場合は、できるだけ自然環境に近い状態を再現することが大切です。
自然環境でのスナガニは普段から砂に隠れて生活しているため、砂は深めに設置して、乾燥しないよう海水を含ませることが重要です。
サワガニ同様、気軽に捕まえられる種類なので、飼育のハードルも高くないでしょう。
関連記事:スナガニは飼育できる?長生きさせる飼育方法や捕まえ方について解説
ドワーフクラブ
ドワーフクラブは淡水に生息する小型のカニで、甲長は1.5センチ~2センチ程度です。
色彩豊かな体色が特徴的で、種類によって異なる色合いや模様を持っています。
そのため、観賞用のカニとしてとても高い人気を誇ります。
また、小型であるため大きな水槽は必要とせず、小さなプラケースでも飼育できる手軽さが魅力です。
プラケースを自由にカスタマイズしておしゃれに彩ることで、部屋のインテリアとしても利用できるでしょう。
生息はインドネシアのスラウェシ島やボルネオ島ですが、日本でもペットショップや通販で購入できます。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方
ケブカガニのように変わった見た目をしているカニ6選
カニの種類はとても豊富で、世界に8,000種類いるといわれるほどです。
そのため、普段目にするようなカニの見た目とは逸脱した種類も存在しています。
続いては、ケブカガニのように変わった見た目をしているカニを6種類紹介します。
アサヒガニ
アサヒガニは、インド太平洋の温暖な地域に生息する大型のカニです。
縦長の胴体をしており、パッと見ではカニには見えないでしょう。
実際に、体勢がカエルに似ていることから英語ではフロッグクラブと呼ばれています。
甲幅は15センチに達するものも多く、その見た目には威圧感があります。
また、前に歩くことができる点もほかのカニとは一線を画したカニといえるでしょう。
タカアシガニ
タカアシガニはクモガニ科に分類されるカニで、日本近海の深海に生息しています。
甲幅は最大で40センチあり、体重は最大で19キログラムです。
現生する節足動物では世界最大の大きさを誇り、生きた化石とも呼ばれています。
食用としても利用されますが、水揚げから時間が経つと身が溶けてしまうため、産地以外ではなかなか食べられません。
脚を伸ばすと成人男性よりも大きく、特徴的なカニといえるでしょう。
カルイシガニ
カルイシガニは、甲幅が10〜12センチ程度になる中型のカニです。
岩に似た見た目をしており、ゴツゴツとした岩場では周りと擬態して生活しています。
そのため、自然環境でカルイシガニを発見するのは簡単ではありません。
ゴツゴツとして豪快な体は、カニの中でも変わった見た目をしているといえるでしょう。
カラッパ
カラッパとはカラッパ科に属するカニの総称で、カニの中でも珍しい丸みを帯びたカニです。
太平洋から大西洋沿岸に分布しています。
丸くドーム型の甲羅が特徴的です。
また、飛び出している鋏脚で甲羅の全面を覆う姿から「ハズカシガニ」と呼ぶ地域もあります。
ホソウデヒシガニ
ホソウデヒシガニは、ヒシガニ科に分類されるカニです。
房総半島以南の浅い砂泥地に生息しており、底引網漁で水揚げされることもあります。
名前のとおり甲羅より細長い腕が最大の特徴で、短い歩脚との対比がとてもユニークです。
ビワガニ
ビワガニは、アサヒガニ科に分類されるカニです。
縦長の甲羅が弦楽器の琵琶に見えることからビワガニと名付けられました。
アサヒガニの仲間に分類されるため、アサヒガニに似た縦長の体が特徴です。
しかし、アサヒガニのように食用としての利用はされていません。
ケブカガニについてのまとめ
今回は、全身を長い毛で覆われたケブカガニについて紹介しました。
ケブカガニは、毛ガニのような外見をしている一方で、毒性を持つ可能性から食用としては利用されません。
しかし、小型でコストがかからないため、飼育用として利用されることがあります。
飼育用のケブカガニは通販などで取引されているため、気になる方は覗いてみてはいかがでしょうか。