カニを食べると、痛風になると聞いたことはありませんか?
そのような噂から、カニと痛風の関係について心配になる方もいるかもしれません。
しかし、痛風の原因になるといわれているプリン体の量は、カニにはそれほど多く含まれてはいません。
そこで、今回はカニとほかの食品とのプリン体の比較をして、カニと痛風の関係や痛風を予防するためのポイントについて紹介していきます。
現在、痛風について悩んでいる方や、痛風に対する予防策を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
痛風の特徴や症状
痛風は、体内にある尿酸が過剰に溜まることで結晶になり、関節などに炎症を起こす病気です。
足の親指の付け根や足首、膝などに症状が現れ、多くの場合は、痛みだけでなく患部が赤く腫れ上がります。
尿酸濃度が女性よりも男性の方が高いため、男性に多いのも特徴です。
尿酸の原料となるプリン体の多い食品の摂りすぎや、お酒の飲みすぎ、ストレスの溜めすぎが痛風の主な原因に挙げられます。
なぜカニが痛風によくないといわれるのか
カニが痛風によくないといわれる一番の原因は、甲殻類に含まれるプリン体の量が多いことに起因しています。
そのため、痛風の方はカニを食べない方がよいとよくいわれますが、実際にそうなのでしょうか。
カニに含まれるプリン体の量
続いては、カニに含まれるプリン体の量を確認していきましょう。
100gあたりのプリン体含有量は、ズワイガニが136.4mg、タラバガニが99.6mgです。
カニが痛風の原因となるのなら、乳酸の原料となるプリン体の量が多く含まれているはずです。
この数値が高いのか否かを比較していきます。
カニに含まれるプリン体の量をそのほかの食品と比較
カニに含まれるプリン体の量は、ズワイガニが136.4mg、タラバガニが99.6mgでした。
それを踏まえたうえで、そのほかの商品に含まれるプリン体の量をまとめた以下の表を確認しましょう。
分類 | 食品名 | 100gあたりのプリン体含有量 |
---|---|---|
穀類 | 玄米 | 37.4mg |
白米 | 25.9mg | |
豆類 | ピーナッツ | 49.1mg |
冷奴 | 31.1mg | |
野菜 | カリフラワー | 57.2mg |
ピーマン | 69.2mg | |
肉類 | 豚肉レバー | 284.8mg |
牛肉肩ロース | 90.2mg | |
魚介類 | カツオ | 211.4mg |
アジ | 165.3mg | |
海藻類 | わかめ | 262.4mg |
ひじき | 132.8mg |
この表を確認する限り、肉類や海藻類、魚介類に多くのプリン体が含まれていることがわかります。
カニのプリン体含有量が約100mg〜140mgということを加味すると、カニは特別プリン体が多いわけではないことがわかります。
また、公益財団法人 痛風・尿酸財団のガイドラインによると、食品に含まれるプリン体の量は以下の表のとおり分類されます。
プリン体含有量 | 分類 |
---|---|
300mg以上 | 極めて多い |
200~300mg | 多い |
50~100mg | 少ない |
50mg以下 | 極めて少ない |
この表を参考にしても、カニのプリン体含有量は少なくないにしろ、決して多くはない平均的な量だとわかります。
そのため、カニを食べたからといって、著しく痛風になる危険性が高くなるわけではないということがいえるでしょう。
プリン体はカニよりも蟹味噌の方が多い
カニの身自体は、プリン体がそこまで多く含まれているわけではないことがわかりました。
しかし、カニの可食部でプリン体が一番多いのは蟹味噌であり、100gあたり152.2mg含まれています。
そのため、カニは身ではなく、蟹味噌の方に注意しなければいけないように思うかもしれません。
しかし、蟹味噌に関しても、ほかの食品と比較したらそこまで多くのプリン体が含まれているわけではありません。
さらに、蟹味噌は一度に100gも食べるようなことはなく、一般的に一度で消費する量は10g程度です。
これらを加味すると、確かに蟹味噌のプリン体含有量は身よりも多いですが、そこまで気にする必要もないといえるでしょう。
痛風を予防する方法は?
痛風は、尿酸値が上がることによって発症します。
そのため、以下のような生活習慣を見直して、尿酸値を下げると痛風を予防できるでしょう。
- 食べ過ぎない
- お酒を飲み過ぎない
- 適度な運動をする
- ストレスを溜め込まない
それぞれの予防法について見ていきましょう。
食べ過ぎない
痛風の原因となる尿酸は、ほぼすべての食品に含まれているため、食べ過ぎると自然と尿酸値が高まります。
そのため、1日3食を守り、摂取カロリーを調節することによって、痛風の予防となるでしょう。
特に、肉や魚のような高タンパクな食品には多くのプリン体が含まれているため、注意が必要です。
お酒を飲み過ぎない
アルコールには、尿酸値を上げる作用があるため、お酒の飲み過ぎは痛風の原因となります。
また、最近ではプリン体ゼロビールというお酒も販売されていますが、痛風の危険性をなくせるわけでないため、いずれにせよ飲み過ぎはいけません。
日頃からお酒をよく飲む方は、1日のアルコール摂取量を決めて、適量で楽しむようにしましょう。
野菜を食べる
野菜はビタミンなどを多く含む、アルカリ性食品です。
痛風の原因となる尿酸は、アルカリ性に溶ける性質を持っているため、野菜をたくさん摂ることで、尿酸の排泄を促せます。
そのため、野菜のバランスをよくするなどして、野菜を多めに摂取するようにしましょう。
水分をしっかり取る
水分をしっかり取ると、尿として尿酸を体外に排出できます。
そのため、少なくても1日2リットル以上を目安にして水分を取るようにしましょう。
しかし、ジュースなどの糖分が多い飲み物は、逆に尿酸値を上げてしまうため、注意が必要です。
適度な運動をする
激しい運動や筋肉トレーニングは、尿酸値が上昇する原因になります。
しかし、適度な運動は肥満やストレスの解消になり、痛風の予防に効果的です。
そのため、日ごろからウォーキングなどの軽い運動を取り入れるようにしましょう。
ストレスを溜め込まない
過度なストレスは尿酸値を高めて、痛風の原因になり得ます。
現在の環境にストレスを抱えている方は、転職したり気分転換をしたりして、なるべくストレスを溜め込まないようにしましょう。
カニに含まれる栄養素は?
カニにはプリン体だけでなく、多くの栄養素が含まれています。
健康に良いとされる成分も豊富です。
続いては、カニに含まれる栄養素の効果について確認していきましょう。
タウリン
タウリンはアミノ酸の一種で、ホメオスタシス機能を持ち、肝臓の働きを活発にするとされます。
また、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きもあるなど、健康には欠かせない栄養素です。
さらに、タウリンは筋肉の疲労を助ける効果もあるため、栄養ドリンクとしても活用されています。
ビタミンE
ビタミンEは、脂溶性ビタミンの一種であり、活性酸素を取り除く働きを持つ栄養素です。
活性酸素は老化や動脈硬化、がんなどの原因とされており、ビタミンEはそれらの疾患の予防に役立ちます。
また、体内で様々な働きを担うため、健康維持にも重要な栄養素となります。
亜鉛
亜鉛は体内に約2,000mg含まれる金属原子で、多くの酵素に含まれ、タンパク質の合成に関わっています。
味覚や抗酸化作用、免疫力向上など、さまざまな効果がある栄養素であると同時に、髪のサイクルを整える効果もあるため、抜け毛や薄毛にコンプレックスを抱えている方にとって有用な栄養素でもあります。
銅
銅は、体内に100~150mg存在し、老化を引き起こす活性酸素を分解する効果があります。
そのため、酸化ストレスによる身体への悪影響を軽減する栄養素です。
また、メラニン色素の生成を助け、健康的で強い髪を維持する働きもあります。
しかし、日本人は十分な銅の摂取量を摂っているため、偏った食事でなければ銅不足を心配する必要はないでしょう。
アスタキサンチン
アスタキサンチンは、サケやカニなどに含まれる赤色の天然色素で、強い抗酸化作用を持つことが特徴です。
この成分には、疲労回復や動脈硬化の予防、眼精疲労の改善などに効果があるとされています。
また、カニを加熱すると赤く紅潮するのは、体内で結合されているたんぱく質とアスタキサンチンが加熱によって分解されるからです。
日々の食事からアスタキサンチンを摂取することで、健康に役立てられるでしょう。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や髪の毛などの体を構成するために不可欠な栄養素です。
カニには、このたんぱく質が多く含まれており、効率的に摂取できます。
たんぱく質が不足すると、体力や免疫力が低下するため、積極的に摂取するようにしましょう。
ナイアシン
血行を促進する効果のあるナイアシンは、冷えや肩こり、頭痛を改善する効果が期待できます。
このナイアシンが不足すると、認知症を引き起こすペラグラという欠乏症になる可能性があるため、適度に摂取することが大切です。
カルシウム
カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルの一つで、99%が骨や歯に含まれ、1%が血液などに存在します。
骨形成に欠かせないカルシウムは、不足すると骨の健康に影響を与えるため、積極的な摂取が必要です。
そのほか、カニによってもたらされる健康効果について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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カニと痛風についてのまとめ
今回は、カニを食べ過ぎると痛風になるのかについて紹介してきました。
実際、カニには痛風の原因となるプリン体の含有量は平均的なので、カニを食べたからといって、痛風になる可能性が著しく上がるわけではありません。
しかし、食べ過ぎは痛風にとって悪影響であるのは間違いないため、カニに限らず食事は適量取るようにして、規則正しい生活習慣を送るようにしましょう。