ショウジンガニは自宅で飼育できる?飼育の際に注意するポイントを紹介

ショウジンガニは、日本各地に生息している中型のカニで、味噌汁などで調理すると絶品です。

また、食用だけでなく飼育用としても利用されるカニであり、初心者でも自宅で飼育できます。

本記事では、そんなショウジンガニの飼育に関して紹介します。

ショウジンガニの飼育を考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

ショウジンガニとは

ショウジンガニは、イワガニ科に分類されるカニで食用としても利用されています。

甲幅は6センチほどで、甲羅の表面に細かい毛が密集して生えているのが特徴です。

太平洋西部の熱帯域から温帯域にかけて分布しており、日本では東北地方以南の岩礁海岸に生息しています。

海中では海きくないため、身は少ないですが、味は淡白で調味料と合わせると美味しくいただけます。

さらに、濃厚な蟹味噌が特に人気で、味噌汁と合わせるとコクがより深くなり絶品です。

ショウジンガニの飼育方法

ショウジンガニは、食用としてだけでなく、飼育用としても人気があります。

サイズも中型で大きすぎないため、飼育コストを低く抑えられるのも魅力の一つです。

ショウジンガニが自然界で生息している環境を再現できれば、初心者でも自宅で飼育できるでしょう。

ショウジンガニの飼育環境は?

ショウジンガニは、サワガニなどと比較するとサイズが大きいため、中型の水槽が必要です。

大きい水槽を用意する必要はありませんが、ショウジンガニがストレスにならない程度の空間を用意しましょう。

また、水槽内には、ショウジンガニの生息域と似た岩場を作ってあげるのがおすすめです。

自然環境と似た環境を作ってあげることは、自宅での飼育を成功させる鍵になります。

そのため、岩場だけでなく流木などを用意してあげるとより良いでしょう。

ショウジンガニのエサは?

ショウジンガニの食性は雑食性のため、エサは広範囲に渡ります。

基本的には何でも食べますが、自然環境では海藻や小動物を主に食べているのが特徴です。

そのため、飼育下でも同じように海藻などを与えるのがよいですが、市販されているザリガニの餌などであれば、手頃に購入できておすすめです。

また、毎回同じエサでは、飽きて食べなくなってしまう場合もあるため、そのときは普段と違ったエサを用意してあげるとよいでしょう。

水質・水温管理を徹底する

ショウジンガニの飼育において、水質と水温の管理は重要なポイントです。

ショウジンガニは繊細な生物であり、水質や水温の変化に敏感です。

水槽内の水が汚染されると、ショウジンガニの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

こまめに水槽の掃除を行い、清潔な環境を保つことが大切です。

特に、エサの食べ残しは水質汚染の原因となるため、適量のエサを与えるよう心がけましょう。

また、夏や冬など、気温の変化が大きい時期は特に注意が必要です。

水温が極端に高くなったり低くなったりしないようにクーラーやヒーターを使用して、水温や室温を一定に保たなければいけません。

適切な水質と水温の管理により、ショウジンガニの健康を守れるでしょう。

カルキ抜きを行う

水道水に含まれるカルキはカニにとって有害であるため、飼育で使用する水にはカルキ抜きが必要です。

カルキ抜きは、水道水を日の当たる場所で半日ほど放置する方法が一般的です。

また、ショウジンガニは海に生息するカニであるため、飼育水には海水を使用しなければいけません。

海水を毎回汲みに行くのは手間がかかるため、市販されている海水の素を使用するのがおすすめです。

海水の素は、カルキ抜きをした水道水に混ぜるだけで海水と同じ成分の水を作れます。

カルキ抜きと海水の使用によって、ショウジンガニが暮らせる環境の水を作成できます。

脱走に注意する

カニは、水槽内で脱走を試みることがあるため、脱走対策を怠らないようにしましょう。

脱走の際は、水槽の壁を伝って器用に逃げ出します。

そのため、水槽には蓋をして、上から重りを置いたり、フィルターなどのコード類にはテープを巻いたりして、カニが脱走しづらい状態を作らなければいけません。

また、水槽内の環境が悪いと、カニはより良い環境を求めて脱走しようとするケースもあります。

そのため、ショウジンガニが快適に暮らせるような飼育環境を整えることも大切です。

適切な水質や水温を保ち、十分な隠れ家やエサ、清潔な環境を提供することで、カニのストレスを軽減し、脱走を防ぐ抑止力となるでしょう。

ショウジンガニ以外に飼育に適したカニ4選

ショウジンガニも、自宅で飼育できるカニの一種ですが、ほかにも飼育用として愛されているカニがいます。

続いては、飼育に利用できるおすすめのカニを4種紹介していきます。

サワガニ

サワガニは、サワガニ科に分類される小型のカニで、淡水に生息しています。

小さくて愛らしい外観が特徴で、飼育用として人気の高い種類です。

甲幅は2〜3cm程度で、飼育コストがかからないのが大きな魅力です。

基本的には黒褐色の体を持ちますが、一部の地域では青白色や紫色の個体も見られます。

オスとメスはハサミで識別でき、オスは通常右のハサミが大きく、左右の差が少ない個体がメスとされています。

しかし、左のハサミが大きいオスも時折存在するため、判別は確実ではありません。

サワガニの分布

サワガニは日本の固有種で、分布は青森県からトカラ列島(中之島)まで広がっています。

北海道でも生息の報告がありましたが、誤認や人為的移入の可能性があるとして、生息の確定はされていません。

サワガニの生態

サワガニは日本の水が綺麗な川に生息しています。

春から秋が活動期で、冬には冬眠をするのが特徴です。

一生を淡水で過ごすカニとしても知られており、産卵も川で行います。

また、日中は岩陰に潜んでいるため、捕獲する際は、岩の下を重点的に探すとよいでしょう。

一般的な寿命は10年ほどといわれており、長期間飼育できるのも魅力の一つです。

関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説

スナガニ

スナガニは、スナガニ科に分類されるカニで、甲幅は3センチほどです。

ハサミの一方が大きく、甲羅は長方形でやや膨らんでいます。

また、大きな複眼によって視力が優れているのが特徴です。

体自体がそこまで大きくなく、飼育も容易なため、観賞用としても高い人気を誇ります。

また、日本の海岸に広く生息しているため、捕獲難易度が高くない点も手頃な理由です。

スナガニの分布

スナガニは、東アジアの熱帯や温帯域に分布しており、日本では東北地方以南に生息しています。

水の綺麗な砂浜で見かけることができ、1メートルに達するほどの深い穴を掘って生活しています。

そのため、砂浜に円形の穴が点在していれば、スナガニが中にいる可能性が高いでしょう。

スナガニの生態

スナガニは、普段赤い体色をしていますが、驚くと黄褐色から黒褐色に変化する変わった生態を持っています。

また、夜になると活動を活発に始める夜行性です。

昼間は警戒心が強く、天敵を見つけると巣穴に一目散に逃げ込む習性があります。

逃げるスピードはとても早く、砂浜で歩いているスナガニを捕まえる難易度は高いでしょう。

エサは動物の死体や藻類を食べる雑食性のため、飼育の際はエサに困る心配はありません。

海水浴場でよく見かけるスナガニですが、最近は海洋汚染や砂浜の減少により、個体数が減少していることが懸念されています。

関連記事:スナガニは飼育できる?長生きさせる飼育方法や捕まえ方について解説

ドワーフクラブ

ドワーフクラブは、淡水域に生息する甲長1.5〜2センチ程度の小型のカニです。

サイズが小さく、体色が鮮やかなため、主に観賞用として利用されます。

大きな水槽が必要ないため、初心者でも飼育難易度は高くありません。

独自のレイアウトで綺麗にデザインすれば、部屋のインテリアとしても機能するでしょう。

また、ドワーフクラブにはさまざまな種類が存在しており、それぞれで体色などの特徴が異なるため、好みに合わせて選択できる点も魅力です。

ドワーフクラブの分布

ドワーフクラブは、インドネシアのスラウェシ島やボルネオ島に生息しています。

日本での生息は確認されていません。

飼育するなら海外からの輸入となりますが、価格は1匹1,000円程度とリーズナブルな点も人気の要因です。

ドワーフクラブの生態

ドワーフクラブは、夜になると活動が活発になる夜行性のため、昼間は岩陰などに隠れて生活しているのが特徴です。

立体行動が得意で、植物に登ってエサを食べる様子も観測されています。

普段は、コオロギやバッタなどの昆虫や生き物の死骸、苔など動物性、植物性問わずエサとします。

そのため、飼育時にエサに困る心配はないでしょう。

関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方

アカテガニ

アカテガニは甲幅3センチ程度のカニで、ベンケイガニ科に分類されます。

主に飼育用として使用され、食用として利用されることはほとんどありません。

名前の通り、赤いハサミが特徴です。

また、体色は灰褐色でメスよりもオスの方が大きく、頭胸甲は四角形で厚みがあります。

アカテガニの分布

アカテガニは主に東アジアに分布しており、日本では本州から南西諸島にかけて分布しています。

海岸や川辺の岩場、湿地などに生息しており、水辺環境を好んで生息しています。

アカテガニの生態

アカテガニは夜行性で、夜に行動するのが特徴です。

また、食性は雑食性のため、魚や植物、動物の死骸までなんでもエサにします。

さらに、体内で水の循環を行えるため、水が少ない環境でも生きられます。

関連記事:アカテガニは飼育に向いている?飼育方法や手に入れ方について解説

ショウジンガニの飼育についてのまとめ

ショウジンガニは、大きすぎないサイズで飼育に適したカニです。

飼育する際は、水質や水温の維持を心がけることで、初心者でも問題なく飼育できるでしょう。

また、カニ特有の脱走については注意が必要です。

水槽に脱走できない蓋を置いたり、フィルターなどの配線類にテープを貼ったりして対策しなければいけません。

丁寧に飼育して、少しでも長生きしてもらえるように努めましょう。