カニのイメージとして、口から泡を吹く現象を思い浮かべる方もいるでしょう。
その現象は、実際のカニでも起こります。
また、カニが泡を吹くのは危険な兆候です。
本記事では、カニが泡を吹く理由と泡を吹いたときの対策について解説します。
自宅でカニを飼育している方は知っておいた方がよい知識なので、ぜひ参考にしてみてください。
カニが泡を吹くのは酸欠が原因
カニが泡を吹くのは、酸欠で呼吸困難に陥ったときです。
カニは水中でエラ呼吸を行う生物であり、本来、陸上での呼吸に適性はありません。
そこで、カニは陸上で呼吸を行うために、エラに少量の水を溜めておき、この溜めた水を利用して一時的に呼吸を行っています。
しかし、長時間陸上にいると、この水が蒸発してしまい呼吸困難に陥るのです。
その際、カニは口やエラを動かしてエラの中の水を送り込もうとしますが、空気も一緒に入ってきてしまいます。
この空気と水が混ざることで泡が生じ、口からブクブクと泡が出てくるというのが、カニが泡を吹く原因です。
飼育しているカニが泡を吹く原因
飼育水を用意しているのに、飼育しているカニが泡を吹く場合があります。
その際は、溶存酸素量が影響していると考えられます。
溶存酸素量とは、水に含まれる酸素の濃度です。
水を用意していても、その水の溶存酸素量が薄いとカニが酸欠を起こす可能性があります。
溶存酸素量は、飼育水の水位が高いと水面付近が濃くなり、水底の部分は薄くなるのが特徴です。
溶存酸素量が少ないと酸欠になりやすいため、カニの種類によっては水位を高くしすぎないことが大切です。
また、水温によっても変わるため水温の調節も怠らないようにしましょう。
基本的には水温が低い方が溶存酸素量は高いですが、カニによって適正の水温があるため、それに合わせることが重要です。
飼育しているカニが泡を吹いている場合の対策
飼育しているカニが泡を吹いている場合は、以下のような対策が必要です。
- 水位を低くする
- エアレーションを使用する
- 適正の水温に設定する
それぞれの対策の詳細について見ていきましょう。
水位を低くする
水位が高いと水底の溶存酸素量が低下するため、カニが酸素不足に陥る可能性があります。
しかし、水位が低いと水全体に満遍なく酸素が行き渡るため、酸素不足にリスクを抑えられます。
カニは種類にもよりますが、基本的に身体が隠れるほどの水位があれば十分です。
そのため、水槽に水をたくさん入れてしまっている方は、水位を下げて水中の溶存酸素量を維持するように心がけましょう。
エアレーションを使用する
エアレーションとは、ポンプを使用して水中に空気を送り込む機械のことです。
エアレーションを設置することによって水中への酸素供給が捗るため、カニの酸素不足のリスクを低減できます。
しかし、音がうるさかったり水が跳ねたりするデメリットもあるため、本当に設置が必要かどうかはしっかり検討しましょう。
適正の水温に設定する
溶存酸素量は、水温が低い方が濃くなるため、水温は低めに設定する方がよいでしょう。
しかし、カニによって適正の水温は異なるため、適正外の水温になってしまわないように注意が必要です。
水温を維持するためには、クーラーやヒーターを使用したり、水槽を置く位置を工夫したりする必要があります。
特に、温度変化の激しい夏場や冬場の水温管理はしっかり行うようにしましょう。
カニが泡を吹かないように脱走対策をしよう
カニは酸欠を起こすと泡を吹いてしまうため、水槽から脱走して酸素不足に陥るといずれ死んでしまいます。
そうならないためにも、カニの脱走を防ぐ対策を取ることが大切です。
続いては、カニが脱走しないための対策方法について見ていきましょう。
飼育環境を整える
カニは、飼育環境が悪いとより良い環境を求めて脱走する傾向にあります。
そのため、飼育環境を整えてカニが快適に暮らせるようにすることが大切です。
具体的には、水質汚染を放置せずこまめに水槽の掃除をしたり、水温を適正温度に調節したりすることが挙げられます。
今の環境が悪くないか、一度見直してみるとよいでしょう。
配線の周りを補強する
カニの脱走でよくあるケースが、フィルターなどの配線類を伝って逃げ出すケースです。
そのため、配線はテープで固定するなどしてよじ登れないように補強しておくようにしましょう。
蓋をつける
カニが逃げ出さないための一番の対策は、蓋をしっかり付けることです。
しかし、軽い蓋だと器用に開けて脱走してしまうため、上に重しを置いて開けられないようにする対策が必要です。
また、すべてを蓋で塞いでしまうと、カニが酸欠になってしまいます。
そのため、一部分だけ開いている蓋や、金網などで酸素が入るようにする必要があります。
カニでよくある疑問
カニが口から泡を吹くのはなぜなのかについては、カニでよくある疑問です。
続いては、そのほかのよくある疑問について見ていきましょう。
カニはなぜ横歩き?
カニが横歩きするのは、外敵に狙われた際に素早く逃げるためです。
カニの脚は10本ありますが、その内2本はハサミなので、実際は8本で陸上を移動します。
横に長い甲羅に各4本ずつ脚があるため、前に動かそうとする前後の脚に当たったスムーズに動けません。
そのため、カニは前に走ることに向いておらず、横に走る方が早く走れるのです。
これらの理由から、カニは横に歩く習性を持っています。
前に歩くカニもいる?
カニは横移動しかできないイメージがあるかもしれませんが、前に歩くカニも存在しています。
その代表例でいうと、ミナミコメツキガニです。
ミナミコメツキガニは、脚の動きが柔らかいため、ほかのカニのように横以外にも移動ができます。
ほかにも、横に歩けないカニとしてアサヒガニという種類も存在しているなど、カニは必ずしも横歩きしかできないわけではありません。
カニの寿命は?
一般的に飼育で利用されやすいサワガニは、5〜10年生きるといわれています。
対して、食用で利用されるタラバガニや毛ガニは15年以上生きるケースもあるため、カニの種類によって寿命は大きく異なります。
飼育下であれば、環境が悪いと寿命よりも早めに死んでしまうため、飼育環境の調整はしっかり行うようにしましょう。
カニを茹でると赤くなるのはなぜ?
カニを茹でると赤くなるのは、殻にアスタキサンチンと呼ばれる色素が含まれているためです。
生きているうちは、アスタキサンチンの影響はありませんが、茹でると隠れていたアスタキサンチンが表に出てきて赤く染まります。
この現象が、カニを茹でると赤くなる理由であり、エビも同じ理由で赤くなります。
蟹味噌ってカニのなに?
どろっとした食感と濃厚な味わいで珍味として人気の高い蟹味噌ですが、実際カニのどこにあたる部位なのでしょうか。
結論からいうと、蟹味噌はカニの内蔵です。
名前からカニの脳みそと思っている方も多いかと思いますが、実際は中腸腺と呼ばれる内臓で、人間でいうところの膵臓や肝臓にあたります。
蟹味噌は甲羅焼きにしたり、料理に加えてアレンジしてみたりとさまざまな用途で利用できます。
カニを購入した際は、ぜひカニの身だけでなく蟹味噌も味わってみてはいかがでしょうか。
カニのブランドって何が違うの?
食用として人気の高いズワイガニでは、地域によってブランド化されています。
福井県の越前ガニや山陰地方の松葉ガニは、名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
そんなブランドカニは、水揚げされる地域が違うのはもちろん、味や身の締まりもブランドによってさまざまです。
実際、ブランドによって価格に大きな差があり、高いブランドになると1kgで4万円を超える個体も珍しくありません。
そのため、カニ好きの方はさまざまなブランドを食べ比べてみて、自分好みのカニを見つけてみるのもよいでしょう。
飼育に向いているおすすめのカニは?
カニを飼育するのに向いているカニはサワガニです。
サワガニなら飼育コストがかからないため、初心者でも比較的簡単に飼育できます。
サワガニが飼育におすすめな理由は、以下のとおりです。
- 小さな水槽で飼育できる
- 雑食性でエサに困らない
- 自ら捕獲できる
サワガニは体が小さいため、飼育に大きな水槽は必要ありません。
また、雑食性で基本何でも食べるので、エサに困ることもないでしょう。
さらに、全国の川や沢に棲んでいるため、自ら捕獲できることもおすすめの理由です。
これらを総合すると、サワガニは飼育コストのかからないカニといえるため、初心者でカニを飼育してみたいと考えている方は、まずサワガニから挑戦してみるとよいでしょう。
関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説
サワガニの捕まえ方は?
サワガニを捕まえる際は、網を使うのがおすすめです。
2本の網を用意して、前と後ろから被せるように捕獲しましょう。
また、素手で捕まえることもできますが、挟まれると意外と痛いので、要注意です。
素手で捕まえる際は、後ろからそっと掴むようにして、前から行かないようにしましょう。
カニが泡を吹く理由や対策についてのまとめ
今回は、カニが泡を吹く理由やその対策について紹介しました。
カニが泡を吹くのは、酸欠に陥っていることが原因です。
陸上で息をするために溜め込んだエラの水が乾いている状態で、そのまま放置していると死んでしまいます。
そのため、飼育下ではカニが泡を吹かないように、しっかりと対策を取ることが大切です。
泡を吹かないための対策として、水位を調節したりエアレーションを設置したりすることが有効です。
ほかにも、脱走対策として飼育環境を整えてあげることも忘れないようにしましょう。
大切に飼っているカニが泡を吹いて死んでしまわないように、ぜひ本記事の内容を参考に対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。