魚介類に寄生するアニサキスは、激しい腹痛や嘔吐など、過激な症状の出る食中毒の原因になるとして、多くの方から恐れられています。
そんなアニサキスは、甲殻類であるカニにも寄生するのでしょうか。
本記事では、カニにアニサキスが寄生するのかや、アニサキス以外に発症する可能性のある食中毒について紹介していきます。
また、カニを食べるときの注意点についても紹介しているので、しっかり確認しておきましょう。
アニサキスとは
アニサキスは寄生虫の一種で、約15mmほどの細長い形をしています。
ヒトに感染すると、腹痛や嘔吐、ひどい場合は腸閉塞に至るケースもあるなど、強い症状が現れるのが特徴です。
しかし、アニサキスはヒトの体内に入ると約1週間で死滅してしまうため、症状が現れないケースもあります。
また、60度以上で1分以上の加熱とマイナス20度以下で24時間以上の冷凍によっても死滅します。
そのため、しっかりとした加熱や冷凍保存ができていれば、ヒトに感染するリスクはそこまで高くないでしょう。
カニにアニサキスは寄生する?
基本的に、アニサキスがカニに寄生することはありません。
アニサキスは、主に以下の魚介類に寄生します。
- サバ
- サンマ
- アジ
- カツオ
- サケ
- イカ
- イワシ
この特徴からわかるとおり、アニサキスは海に生息する魚介類に寄生します。
というのも、アニサキスはオキアミを介して寄生するため、オキアミが存在しない川魚には寄生しません。
また、貝やカニのようにオキアミを捕食しない生物もアニサキスの心配はありません。
そのため、カニを食べてアニサキスを発症する危険性はほとんどないといえるでしょう。
調理器具から感染することはある
カニ自身にアニサキスが寄生することはありません。
しかし、アニサキスが寄生した生物に触れた包丁やまな板を介して、感染する可能性はあるため、調理器具の衛生状態には注意しましょう。
アニサキス以外でカニに寄生する寄生虫はいる?
カニにアニサキスが寄生することはありませんが、ほかの寄生虫が寄生する可能性があります。
カニに寄生する可能性のある寄生虫は、以下の2つです。
- 肺吸虫
- 大複殖門条虫
それぞれの特徴や症状について見ていきましょう。
肺吸虫の特徴や症状
肺吸虫(はいきゅうちゅう)は、主にサワガニやモクズガニといった、川に生息するカニから感染する恐れのある寄生虫です。
肺吸虫は、肺に寄生し呼吸困難や胸痛、発熱などの症状が現れます。
治療には薬物療法を行いますが、早期に診断できれば、一般に予後は良好です。
肺吸虫は、サワガニやモクズガニがしっかり加熱されていなかったり、調理に使用した包丁やまな板から感染したりする危険があります。
そのため、川のカニを食べるときはしっかり加熱し、使用した調理器具の徹底した洗浄を行うようにして予防するようにしましょう。
大複殖門条虫の特徴や症状
大複殖門条虫(だいふくしょくもんじょうちゅう)は、主にイワシやサバなどに寄生する寄生虫で、寄生した魚を食べることで、症状を発症します。
症状は下痢や便秘、腹痛などで肺吸虫よりも比較的軽いことが特徴です。
こちらも、加熱と触れた調理器具の洗浄で発症を防げます。
海のカニに付着する寄生虫「カニビル」とは
海に生息するヒルの一種であるカニビルは、魚に吸着し寄生する寄生虫です。
成体自体はカニに寄生することはありませんが、卵を産卵する際にカニの甲羅を利用する場合があります。
カニビルは、普段なら硬い岩に卵を産みますが、産卵に適した場所が海底にない場合にカニの甲羅に産卵します。
そのため、カニビルの卵がカニに付着しているケースは珍しくありませんが、成体がカニに付着しているケースはまれです。
カニビルが人体に及ぼす影響は?
カニビルがついたカニを食べてしまった場合、人体に及ぼす影響はあるのでしょうか?
前提として、カニビルは人間に寄生することはありません。
そのため、間違って食べてしまったとしても、健康を害する心配はないでしょう。
また、カニビルはカニに付着することはあっても、寄生することはありません。
さらに、甲羅の中にカニビルが入ることもないため、間違って食べてしまう危険性も少ないでしょう。
カニビルの卵がたくさんついているカニは美味しい?
一般的にカニビルの卵がたくさんついているカニは、身が詰まっていて美味しいといわれています。
というのも、カニビルの卵がたくさんついているカニは、脱皮から時間が経過している個体である可能性が高いためです。
カニは成長するにつれて脱皮して、古い甲羅を脱ぎ捨てますが、脱皮直後はエネルギーをたくさん使うため、身に栄養がいきません。
ほかにも、脱皮直後は大きくなったカニに見合う身がついていないため、大きさに対して身がスカスカな印象となります。
そのため、脱皮からなるべく時間の経過している個体の方が、身入りが良く美味しいとされており、それは、甲羅につけられたカニビルの卵の多さによって、脱皮からの経過時間を推測できます。
しかし、カニが生息する場所によっては、カニビルの卵がつけられないケースもあるので、一つの目安として参考程度にするのがよいでしょう。
カニによって起こる食中毒はなにがある?
カニはアニサキスの心配はありません。
しかし、カニを食べたことによって起こる可能性のある食中毒は、以下の2つあります。
- 腸炎ビブリオ
- ナグビブリオ食中毒
それぞれの症状や特徴について確認していきましょう。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは、感染性胃腸炎の起炎菌の一種です。
潜伏期間は12時間前後で、主な症状に腹痛や下痢、血便がありますが、下痢などの症状は1日程度で回復に向かいます。
また、お腹の症状以外にも発熱や嘔吐、吐き気などの症状も見られます。
基本的に重症化するリスクは高くありませんが、高齢者の方や持病のある方は、最悪の場合死に至るケースもあるなど、侮れない食中毒であることは間違いありません。
ナグビブリオ食中毒
ナグビブリオ食中毒は、汚染された魚介類やカニを介して症状を引き起こします。
潜伏期間は5〜12時間で、主な症状は下痢や腹痛で、水のような便が出るのが特徴です。
また、38度以上の発熱や嘔吐の症状が出る場合もあるため、決して軽い食中毒ではありません。
症状が現れた場合は、すぐに医療機関にかかるようにしましょう。
食中毒にならないために気をつけることは?
食中毒は、しっかりと予防することで対策が可能です。
続いては、食中毒にならないために気をつけることについて紹介していきます。
しっかり加熱する
食中毒の最も簡単な対策は、しっかり加熱することです。
基本的に、カニは購入時に加熱処理を加えられているケースがほとんどですが、活きたカニを購入した場合は、自分で加熱する必要があります。
加熱が甘いと、食中毒の原因となる菌が死滅しないため、十分に火を通すことが大切です。
使用した調理器具を洗浄する
カニを捌いた包丁やまな板に菌が付着していると、そこが感染源になる可能性があります。
そのため、生のカニや菌がついている可能性があるものに触れた調理器具は、しっかり洗浄して菌を繁殖させないことが大切です。
また、生食用の調理器具と普段用の調理器具を分けるのも、食中毒にならないために効果的です。
手洗いを徹底する
調理器具だけでなく、カニに触れた手をしっかり洗うことも感染を防ぐために大切です。
また、調理前や調理中にトイレに行ったり、鼻をかんだりした際にも、必ず手洗いは必要です。
なるべく早く食べてしまう
カニの鮮度が落ちれば落ちるほど、食中毒のリスクは大きく上がってしまいます。
そのため、なるべく早く消費してしまうことが、カニを安全に食べるために大切です。
鮮度が落ちているカニは、甲羅がぬめぬめしていたり、異臭がしたりするため、少しでも違和感を覚えたら、食べずに破棄するようにしましょう。
適切な方法で保存する
カニを間違った方法で保存してしまうと、すぐに鮮度が落ちてしまい、食中毒になるリスクが高まります。
カニによって保存方法は異なりますが、冷凍されているカニの場合は、冷蔵庫で保存するのが最適です。
その際は、ラップや新聞紙に包んで、ビニール袋に入れてから保存します。
解凍前のカニの場合は、この方法で2〜3週間程度保存できますが、解凍済みの場合は2〜3日しか持たないため、解凍後はすぐに消費してしまうようにしましょう。
食中毒かなと思ったら?
嘔吐や下痢など、食中毒の症状が出た際には、早めに医師へ相談することが大切です。
また、症状が悪化する場合もあるため、医師の診断を受ける前に、市販の下痢止めなどをむやみに服用しないようにしましょう。
さらに、嘔吐や下痢をしたら脱水症状を防ぐために、しっかり水分を取って安静にすることも大切です。
新鮮なカニを購入するならカニ通販
鮮度が悪いカニは食中毒の可能性が高まるため、安心してカニを食べるためには、新鮮なカニを購入することが大切です。
そこでおすすめなのがカニ通販です。
カニ通販なら、水揚げされたばかりのカニがそのまま自宅まで届けられるため、新鮮なカニが購入できます。
スーパーや市場などでは、カニを取り寄せてから日にちが経っていたり、購入してから持って帰るまでに鮮度が落ちてしまったりする危険性があります。
そのため、新鮮なカニを購入するなら、カニ通販を利用しましょう。
関連記事:カニ通販で人気のおすすめ10サイトをランキング形式で徹底比較
カニにアニサキスはいるのかについてのまとめ
本記事では、カニにアニサキスが寄生することはあるのかについて紹介しました。
結論として、カニにアニサキスが寄生することはありません。
しかし、カニにはアニサキス以外の寄生虫が寄生している可能性があるため、しっかりとした鮮度管理や保存が大切です。
ほかにも、しっかり加熱したり、早く消費してしまうことを意識したりして、食中毒を引き起こさないように注意しましょう。
コメントを残す