コメツキガニは、甲幅が1センチほどの小型のカニです。
砂浜に生息しており、巣穴の近くで砂団子を作る面白い生態を持っています。
本記事では、そんなコメツキガニの生態について紹介していきます。
また、捕まえ方や食べ方についても紹介するので、コメツキガニに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
コメツキガニの特徴
コメツキガニは小型のカニで、スナガニ科に分類されます。
甲幅は1センチほどで、丸みを帯びたシルエットが特徴です。
体色は砂浜に紛れるための保護色となっており、脚は甲羅よりも長く、複眼が大きく飛び出しています。
コメツキガニの生息地
コメツキガニは、北西太平洋の熱帯・温帯地域に分布しており、台湾やシンガポールなど、広範囲に生息しています。
コメツキガニの生態
コメツキガニは、砂浜に深さ10~20センチほどの巣穴を作って生活しています。
そのため、潮が引いた後の砂浜に多数の穴と砂団子があれば、コメツキガニが生息している証拠です。
昼間に潮が引くと地上に出て活動を始め、砂を丸めながら中に含まれる珪藻や有機物を食べて捨てるため、コメツキガニの生息域には丸い団子がたくさん作られています。
食事の時以外は砂に潜って身を隠しており、人間などの天敵が近づくと砂に潜って隠れる習性があります。
コメツキガニの名前の由来
コメツキガニは、ウェービングと呼ばれる求愛行動の様子が、米をつく動作に似ていることから名付けられました。
ウェービングは求愛するオスが背伸びをし、両方のはさみを振り下ろす動作のことを指します。
コメツキガニの利用方法
コメツキガニはサイズが小さいため、食用として利用されることはほとんどありません。
主な用途としては、クロダイなどの釣り餌として利用されることが多いでしょう。
コメツキガニの捕まえ方
コメツキガニの捕獲は難しくありません。
しかし逃げ足が早く、人を見つけると巣穴に隠れてしまうため、素手で捕まえるのは難しいでしょう。
そのため、コメツキガニを捕まえるときは砂をザルですくい、砂だけを海水などで洗うことでコメツキガニだけを残して捕獲できます。
また、コメツキガニ自体が見当たらない場合は、砂団子のある場所を軽く掘ることで見つけられるでしょう。
コメツキガニの食べ方
コメツキガニを食用として利用するケースは少ないですが、食べるなら素揚げが一般的です。
素揚げをする際は、砂抜きが必須です。
砂抜きをしなければ、食べたときに砂の食感と泥臭さが残ってしまうため、忘れずに行いましょう。
砂抜きは、コメツキガニを綺麗な海水につけて放置し、体内の砂を放出させることができればOKです。
素揚げにして食べると、パリパリとした食感や甲殻類の風味を楽しめるでしょう。
ミナミコメツキガニについて
ミナミコメツキガニはコメツキガニとよく似ているカニですが、スナガニ科ではなくミナミコメツキガニ科に分類されます。
体色は青灰色をしており、甲幅は1センチ程度です。
脚が細長く甲羅よりも大きいため、シルエットはコメツキガニと大きな違いはありません。
また、コメツキガニ同様、食用として利用されることは一般的ではありません。
ミナミコメツキガニは甘い?
ミナミコメツキガニを食べると、口の中に甘みが残り、その後に食べた食べ物や飲んだ飲み物まで甘さを感じるといわれています。
はっきりとした原理は解明されていませんが、ミナミコメツキガニに含まれる新規化合物が甘味誘導を行っているのではないかとされています。
コメツキガニを食べるときは食中毒に注意
コメツキガニに限らず、甲殻類を食べる際は食中毒に注意が必要です。
しっかりと加熱できていればリスクは低減できますが、生で食べたり加熱が不十分だったりした場合は、腹痛や嘔吐などの症状を引き起こす可能性があります。
そのため、甲殻類を自ら調理して食べる際は、食中毒にかからないようにした準備をしっかりすることが大切です。
また、万が一食中毒の症状が現れた場合は、速やかに医師に相談するようにしましょう。
コメツキガニは飼育できる?
コメツキガニは小型のカニであるため、自宅でも飼育できます。
飼育時には、コメツキガニが生息している砂浜の環境をなるべく再現してあげることが大切です。
そのため、コメツキガニのエサとなる有機物を含んだ砂を巣を作れるぐらいの深さまで敷き詰める必要があります。
また、砂浜だけでなく海水も必要です。
しかし、砂に海水がすべて浸かってしまうとエサが食べられなくなってしまうため、砂浜を斜めにするなどレイアウトは工夫しましょう。
飼育におすすめのカニ
コメツキガニも飼育可能なカニではありますが、ほかにも飼育におすすめなカニがいくつか存在します。
それらのカニの特徴についてみていきましょう。
サワガニ
サワガニは日本各地の川で手軽に捕まえられるため、手軽にカニの飼育を始めてみたい方におすすめのカニです。
また、サイズも小柄で、大きな水槽が必要ない点も魅力です。
水質な綺麗な川を好むため、水換えを2〜3日に一度行う必要はありますが、手間をかけずに飼育したい方には最適といえるでしょう。
関連記事:サワガニはどのような飼育環境が必要?エサや水換えの頻度について解説
ドワーフクラブ
ドワーフクラブは、インドネシアに生息する淡水の小型カニです。
飼いやすさと美しい外見から飼育用として、高い人気を誇ります。
多様な種類が存在し、個体によって違う体色や模様が魅力です。
水槽を自由にレイアウトして、個性的な環境を作って楽しめるでしょう。
コストもお手頃で1匹約1,000円程度ですので、初心者でも気軽に飼育を始められます。
ドワーフクラブは、鑑賞用として非常に適しているので、気になる方はぜひ一匹購入してみてはいかがでしょうか。
関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方
アカテガニ
アカテガニはベンケイガニ科に分類されるカニで、東アジアに分布しています。
名前のとおり赤い手が特徴です。
自ら砂に穴を掘って巣を作りますが、石の隙間などを利用する場合もあります。
アカテガニは環境に変化に強いため、飼育に向いているカニだといえます。
見た目も可愛いので、カニの飼育を検討している方は、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょうか。
関連記事:アカテガニは飼育に向いている?飼育方法や手に入れ方について解説
モクズガニ
モクズガニは、主に食用として利用されるカニで、見た目が上海ガニに似ているのが特徴です。
食用としては可食部が少ないものの、蟹味噌が絶品なため、カニの中でも高い人気を誇ります。
また、甲幅は8cm程度でサイズが大きいため、大型カニの飼育用としても人気です。
しかし、飼育する際は大きめの水槽が必要な点に注意しましょう。
また、モクズガニの捕獲ルールは地域によって異なるので、飼育用に捕獲する際は事前に確認しておくことが重要です。
関連記事:モクズガニの飼育は難しい?長生きさせるポイントや注意点を徹底解説
キンチャクガニ
キンチャクガニは、インド太平洋の浅い海に分布するカニです。
護身用として、両方のハサミにイソギンチャクを身につけており、その習性の可愛さから飼育用として人気があります。
また、サイズも小さく飼育コストがかからないため、初心者でも飼育難易度は高くないでしょう。
関連記事:キンチャクガニの飼育方法は?エサや適切な水温について解説!
スナガニ科にはどんなカニがいる?
コメツキガニは、スナガニ科に分類されるカニですが、スナガニ科のカニは海岸に生息するカニの分類群です。
続いては、コメツキガニ以外の主なスナガニ科のカニについてみていきましょう。
スナガニ
スナガニは、東北地方より南の砂浜に生息しているカニで、日本以外では朝鮮半島や台湾などの熱帯・温帯地域に広く分布しています。
夜に活動し、動物の死骸や藻類をエサとします。
また、昼間は警戒心がとても強いことでも有名です。
人間が近づくと素早く巣穴に逃げ込んでしまうため、素手での捕獲は困難です。
食用として利用されることはほとんどありませんが、小型でコストがかからないことから、飼育用として利用されるケースは珍しくありません。
チゴガニ
チゴガニは、日本の温暖な砂泥干潟に生息するカニです。
甲幅は1センチほどの小型で、甲羅は丸みを帯びた形をしており、短い毛がまばらに生えています。
ほかのスナガニ科のカニ同様に、巣穴を掘って生活しており、寿命は最長で2年程度です。
また、チゴガニも求愛行動としてウェービングを行うため、運が良ければ両手を上げ下げする可愛らしい姿を見られるでしょう。
シオマネキ
シオマネキは、スナガニ科シオマネキ属に分類されるカニの総称です。
オスのシオマネキは、片方の鋏脚のみが大きく成長するため、オスメスの見分けは難しくありません。
また、甲幅は2〜4センチ程度で、横長の甲羅が特徴です。
南西諸島や小笠原諸島では、多くの種類のシオマネキを確認できます。
オサガニ
オサガニは、春から秋にかけて干潟でよく見られるカニです。
甲幅は3〜4センチ程度で、横長の甲羅を持っているのが特徴です。
横長の甲羅が機織りのおさに見えることから、その名がつけられました。
日本では、東京湾から九州の太平洋岸に分布しています。
コメツキガニの生態についてのまとめ
今回は、コメツキガニの生態について紹介しました。
コメツキガニは、スナガニ科に分類される甲幅1センチ程度の小型のカニです。
砂浜に穴を掘って生活するのが特徴で、潮が引いた後の砂浜にはコメツキガニの巣穴が多く確認できます。
また、名前の由来となったオスの求愛行動として行う、両手を上下にウェーブする独特の行動がとてもユニークなカニでもあります。
砂浜でコメツキガニを見つけたら、ぜひその生態を観察してみてはいかがでしょうか。