サワガニは川に生息するカニとして、日本人に馴染みがありますが、実際に食べたことのある方は少ないのではないでしょうか。
サワガニは小柄なカニですが、唐揚げや味噌汁にすれば美味しく食べられます。
そこで今回は、サワガニを安全にかつ美味しく食べる方法を解説します。
ぜひ参考にして、サワガニを存分に楽しんでみてください。
サワガニについて
サワガニは、サワガニ科に分類される淡水のカニの一種です。
甲幅は20〜30mm、脚を含めると50〜70mm程度とかなり小型です。
体色は、黒褐色なものが一般的ですが、地域によっては青白かったり、紫色だったりする個体も発見されています。
また、オスとメスで個体に差が出るのも特徴で、一般的には右のハサミが大きいのがオスで、左右の違いがあまりないのがメスです。
しかし、中には左のハサミの方が大きいオスも存在しているため、一概に判別はできません。
食性は雑食性で、藻類や水生昆虫、陸生昆虫類などを餌にしていますが、基本何でも食べます。
サワガニの分布
サワガニは日本の固有種で、青森県より以南に分布しています。
2020年には北海道でも生息が確認されましたが、北海道在来であることは確認されていません。
春から初夏にかけて繁殖を行い、その寿命は~10年程度とされています。
サワガニの旬は?
サワガニの旬は人によって意見が異なりますが、一般的には4~5月の時期が美味しく食べられるとされています。
サワガニは春から初夏にかけての産卵期に突入すると、産卵にエネルギーを使ってしまうため、味が落ちるとされています。
そのため、産卵前の時期が美味しいといわれますが、産卵が終わった冬が一番美味しいとの意見があるのも事実です。
しかし、冬の寒い川でサワガニを捕獲するのもなかなかの体力が必要なので、無理に旬にこだわる必要はないでしょう。
サワガニを食べることはできる?
サワガニは捕獲が容易にできることから、ペットとして飼われることも珍しくありません。
実際、純淡水性であるため、綺麗な水質の水を低温で保つことができれば、飼育も難しくないでしょう。
しかし、タラバガニや毛ガニといったほかのカニと同様に食用としても利用されています。
サワガニの料理としては、サワガニを丸ごと揚げる唐揚げが定番です。
食料品店などで販売されているのを見かけることもあるでしょう。
唐揚げで食べる
唐揚げは、サワガニの代表的な料理です。
取ってきたサワガニを、丸ごと揚げていただきます。
サクサクとした食感が絶品で、お酒の肴としても相性抜群です。
味噌汁で食べる
沸騰したお湯に潰したサワガニを入れて、出汁を取ります。
サワガニの出汁に味噌を入れると、サワガニの味噌汁の完成です。
サワガニの風味がしっかり出た味噌汁は、普段の味噌汁よりも深いコクを味わえるでしょう。
甘露煮で食べる
茹でたサワガニを調味料と混ぜて煮る、甘露煮も絶品です。
カリカリとした食感と、甘辛い風味がお酒の肴にもってこいです。
サワガニを食べる前は泥抜きをしよう
サワガニを食べる前には、泥抜きをして綺麗な状態で調理するようにしましょう。
泥抜きは、綺麗な水に一晩つけるだけでできます。
また、サワガニを調理する前にはしっかり水で洗うことで、汚れやぬめりを落とせるので、しっかり水洗いしてから調理するようにしましょう。
サワガニを食べるときに注意したいこと
海に生息するカニは、新鮮なら生食が可能ですが、川に生息するサワガニには寄生虫がいる可能性があるため、必ず加熱するようにして生で食べないようにしましょう。
サワガニによって引き起こされる可能性のある感染症は、以下のとおりです。
- ウェステルマン肺吸虫症
- 宮崎肺吸虫症
それぞれの感染症の特徴や症状について確認していきましょう。
ウェステルマン肺吸虫症
ウェステルマン肺吸虫症は、肺に寄生するウェステルマン肺吸虫が原因で起こる感染症です。
加熱不足のサワガニなどの淡水甲殻類を食べることで感染します。
胸痛や腹痛、呼吸困難などが主な症状です。
慢性期には、肺以外の臓器も損傷を受けます。
治療には薬剤の投与が必要ですが、そのような事態にならないためにも、サワガニを食べるときは十分に加熱してから食べるようにしましょう。
宮崎肺吸虫症
宮崎肺吸虫症は、宮崎肺吸虫が原因で起こる感染症です。
ウェステルマン肺吸虫症同様、加熱不足のサワガニなどの淡水甲殻類を食べることで感染します。
胸膜炎や自然気胸、皮下腫瘤などの症状が確認されています。
どれも辛い症状なので、宮崎肺吸虫症の原因となるサワガニやモズクガニを食べる場合は、絶対に生食しないように心がけましょう。
サワガニの捕獲方法
サワガニは、食料品店で購入できますが、場所によっては販売されていなことも珍しくありません。
そのようなときは、近くの川で捕まえるのがおすすめです。
サワガニは水の綺麗な川に生息し、川底や石や岩の隙間に潜みます。
そのため、条件に合う川を探し、石や岩をひっくり返したら、簡単にサワガニを見つけることができるでしょう。
また、サワガニのハサミは大きくないため、挟まれてもあまり痛みを感じませんが、後ろから親指と人差し指で甲羅を掴むように捕獲すれば、挟まれる心配はありません。
しかし、小さい子どもと一緒に捕獲する場合は、手づかみではなく網などを使って安全に捕まえる方がよいでしょう。
サワガニの保存期間はどれくらい?
サワガニのような甲殻類は鮮度が落ちやすいので、調理後はすぐに消費してしまうことが大切です。
なるべくその日のうちに食べてしまうか、遅くても2日以内には消費してしまいましょう。
また、サワガニは食べる分だけ獲るようにして、無駄に捕獲して生態系を破壊しないように注意しなければいけません。
サワガニの飼育方法は?
サワガニは、水槽や鉢を使用して飼育するのが一般的です。
しかし、陸と水の部分を作る必要があるため、底が広い容器を使用するようにしましょう。
水は塩素を抜いて使用する
サワガニの飼育に使用する水は、塩素が含まれていてはいけません。
そのため、水道水を1日置いて塩素を抜いた状態で使用するようにしましょう。
また、サワガニは綺麗な水の場所に棲むため、水換えはこまめに行い、常に綺麗な水を維持するように意識する必要があります。
目安としては、2〜3日に1回のペースです。
一つの容器にサワガニをたくさん入れない
同じ容器に多くのサワガニを入れると、大きなストレスがかかるため、飼育する数は少なめにすることが大切です。
また、多く入れすぎると共食いの危険性もあります。
そのため、一つの容器に1匹か、繁殖のためにオスメス1匹ずつ入れるなど、数を少なくするようにしましょう。
隠れられる場所を作ってあげる
サワガニは石や岩に隠れる習性があるため、容器内に隠れる場所を作ってあげるとストレスがかかりにくくなります。
岩や石など、サワガニの体よりも大きいものを入れるようにしましょう。
餌はなんでもOK
サワガニは雑食性のため、どんな餌でも基本的には食べてくれます。
野生のサワガニは、ミミズなどを餌にしていますが、ミミズを毎回用意するのは大変なので、市販されているザリガニの餌などを与えてあげるとよいでしょう。
また、肉や魚なども食べるので、余った食品を与えてあげるのもOKです。
しかし、餌を与えすぎると水が汚れてしまい、水換えの手間が増えてしまうので、適切な量を与えるようにしましょう。
川のカニはほかにどんな種類がいる?
川のカニでは、サワガニのほかにモクズガニが有名です。
モクズガニは、イワガニ科に分類される食用のカニで、上海ガニの同族異種です。
甲幅は7〜8cmほどあり、サワガニと比べてもかなり大型で、体重は180gほどにまで成長します。
ハサミに、モクズのような毛がびっしりと生えているのが特徴です。
濃厚な身はもちろん、旨味が凝縮された蟹味噌の人気が高く、魅力の高い食品として人気があります。
参考記事:モクズガニの旬はいつ?美味しく食べられる料理も紹介!
モクズガニを食べる方法
サワガニと同じ川のカニであるモクズガニは、以下の方法で食べるのがおすすめです。
- 茹でて食べる
- 味噌汁で食べる
- 炊き込みご飯で食べる
それぞれの特徴を見ていきましょう。
茹でて食べる
モクズガニは、茹でて食べるのが、素材の味を最も楽しめる方法として人気の食べ方です。
まず、生きているモクズガニを、蟹味噌がこぼれないように甲羅を下にして茹でます。
茹で上がったら、塩で味付けして完成です。
モクズガニの身を蟹味噌などと一緒に食べると、最高の味わいを楽しめるでしょう。
味噌汁で食べる
モクズガニを味噌汁で食べるのもおすすめです。
活きたモクズガニを茹でて、味噌で味付けをするだけの簡単レシピです。
モクズガニから出る出汁が濃厚で、旨味が詰まっているため、深い味わいを楽しめるでしょう。
また、体にも良い栄養がたっぷり摂れるので、健康的な食事としてもおすすめです。
炊き込みご飯で食べる
モクズガニを使った炊き込みご飯は、カニの旨味がたっぷり染み込んでいて絶品です。
活きたモクズガニを下茹でして身と蟹味噌を取り出し、米と共に炊飯器で炊き上げます。
蟹の旨味と香りが溶け込んだ、とっても美味しい炊き込みご飯ができあがります。
サワガニを食べる方法についてのまとめ
今回は、サワガニを食べる方法や注意点について紹介してきました。
日本人に馴染み深いサワガニは、しっかり加熱することで食用としても利用できます。
基本的には、唐揚げや味噌汁などに調理されることが多く、サワガニのサクサク感や旨みを楽しめます。
しかし、加熱処理が甘いと肺吸虫による感染症にかかる危険があるため、注意が必要です。
ぜひ、近くの川でサワガニを見つけたら、捕獲して調理して楽しんでみてはいかがでしょうか。