ガザミの名称で知られるワタリガニは、北海道南部から全国的に生息している日本では馴染みの深いカニです。
また、毛ガニやズワイガニといった定番の食用カニと比較して価格が安いことから、手軽に購入できるカニとしても人気です。
本記事では、そんなワタリガニの美味しい食べ方について紹介します。
食べ方のほかにも、捌き方や締め方についても解説しているので、ワタリガニを調理する方はぜひ参考にしてみてください。
美味しいワタリガニを食べるなら旬のものを選ぶ
美味しいワタリガニを食べるなら、調理前の素材選びが大切です。
ワタリガニは旬に合わせて選ぶことで、身がよく詰まって濃厚なワタリガニを堪能できます。
また、ワタリガニの旬はオスとメスによって異なります。
そのため、季節に合わせてオスにするかメスにするかを判断するようにしましょう。
ワタリガニのオスは夏が旬
ワタリガニのオスは、7~11月の夏の間が旬といわれています。
この時期のオスは身の詰まりが非常に良く、食べ応えがあります。
さらに、甘みが豊かで濃厚な味わいを楽しめるのが特徴です。
そのため、ワタリガニの身を存分に堪能したい方や、夏にワタリガニを食べたくなった方はオスを選ぶようにしましょう。
ワタリガニのメスは冬が旬
ワタリガニのメスの魅力は、なんといっても濃厚な内子と外子です。
そのため、メスは卵をつける11~4月の冬から春先にかけてが旬といわれています。
しっとりとした食感で独特の風味がある内子と、プチプチとした食感がクセになる外子はこの時期のメスからしか味わえません。
一方で、メスの身はオスと比較して量が少なかったり、旨みが少なかったりするため、身をメインにするか卵をメインにするかで、オスにするかメスにするかを選択するようにしましょう。
ワタリガニのオスとメスを見分ける方法
ワタリガニのオスとメスは、見た目から簡単に見分けができます。
腹部についているふんどしを確認し、三角形をしているのがオスで、広く丸みがあるのがメスです。
メスのふんどしの方が広いのは、卵をたくさんお腹に抱えるためです。
また、ハサミがオスの方が大きかったり、メスの方が全体的に丸々とした印象があったりと、ふんどし以外でも見た目の違いは複数あります。
しかし、オスメスの判別にはふんどしを確認するのが一番手っ取り早いため、ワタリガニを購入する際はぜひ参考にしてみてください。
ワタリガニのおすすめの食べ方7選
ワタリガニは、濃厚な身がさまざまな料理と相性抜群です。
そのため、自分好みの料理で楽しめます。
続いては、ワタリガニでおすすめの食べ方を7つ紹介します。
調理方法についても解説するので、ぜひお好きな方法で調理してみてください。
蒸しガニ
ワタリガニの蒸しガニを作る方法は以下のとおりです。
- ふんどしを開いて中に塩を入れる
- 蒸し器に水を入れて沸騰させる
- 沸騰したらお腹側を上にしてワタリガニを入れる
- 酒を振り中火で10分ほど蒸す
ワタリガニを入れる際にお腹側を下にしてしまうと、せっかくの旨みが逃げてしまうので注意しましょう。
蒸しガニにすることで、ワタリガニが持つ本来の旨みを凝縮して存分に堪能できます。
茹でガニ
ワタリガニの茹でガニを作る方法は以下のとおりです。
- 水を入れた鍋にお腹側を上にしたワタリガニを入れて一煮立ちさせる
- 沸騰したら10~15分程度茹でる
- 粗熱を取って完成
ワタリガニは、茹で方を間違うと食感がパサパサになってしまうため、茹で加減に注意が必要です。
焼きガニ
ワタリガニの焼きガニを作る方法は以下のとおりです。
- 甲羅を下にして網焼きにする
- ふんどしが開き水分が少なくなったらひっくり返してお腹側を焼く
- 出る水分が少なくなってきたら再度甲羅側を3分程度焼けば完成
オスなら詰まった身を、メスなら内子と合わせて楽しみましょう。
味噌汁
ワタリガニの味噌汁を作る方法は以下のとおりです。
- 鍋に水を入れて沸騰させる
- 沸騰したらぶつ切りにしたワタリガニを入れる
- ワタリガニに火が通ったら味噌を入れる
- 一煮立ちしたらネギを加えて完成
ワタリガニから出る出汁と合わせた味噌汁は、身も心も温まる一品です。
カニ飯
ワタリガニのカニ飯を作る方法は以下のとおりです。
- ワタリガニを半分に切る
- 炊飯器にお米とワタリガニ、調味料を入れて炊き上げる
- 炊き上がったらご飯とワタリガニの身を混ぜて完成
ワタリガニの旨みがご飯に染み込んだカニ飯は絶品です。
唐揚げ
ワタリガニの唐揚げを作る方法は以下のとおりです。
- 甲羅とふんどしを外したワタリガニを4等分に切り分ける
- 料理酒と醤油をワタリガニに揉み込み、ラップをして15分ほど冷蔵庫で放置する
- 冷蔵庫から出したら片栗粉を全体にまぶす
- 170度で熱した油にワタリガニを入れ、火が通るまで揚げる
- 油から出しお皿に盛り付けたら完成
ワタリガニを唐揚げにすることで、素材の味をより一層引き立てられるでしょう。
トマトクリームパスタ
ワタリガニのトマトクリームパスタを作る方法は以下のとおりです。
- オリーブオイルとにんにくをフライパンで加熱し香りを演出する
- ワタリガニをフライパンに入れ、中火で炒める
- ある程度火が通ったら白ワインを30ml程度入れる
- トマト缶を入れて煮詰める
- 生クリームを混ぜ合わせたら茹でたパスタを入れて絡ませる
- 塩胡椒で味付けし粉チーズやパセリをまぶしたら完成
カニの濃厚な味わいがパスタと相性抜群です。
料理のアクセントとして、ぜひワタリガニを活用してみてください。
ワタリガニの締め方
ワタリガニを調理する前に大切となるのが、締めるという工程です。
カニは締めずに加熱してしまうと、手足を自ら切り落とす自切と呼ばれる行為を行います。
自切が行われると、断面からカニに含まれる旨み成分が抜け出してしまうため、ワタリガニを美味しく調理するには締める作業が大切です。
締める際は、千枚通しなどの鋭利なもので口の中を一刺ししましょう。
また、確実に締めるために、ぐりぐりと押し込んで動かなくなるまで行うのが大切です。
締まると自切が起こらないだけでなく調理もしやすいため、ワタリガニを調理する際は必ず行うようにしましょう。
ワタリガニを解体する方法
ワタリガニを購入したら自ら解体して調理する必要がありますが、カニの解体経験がなければハードルは高く感じるかもしれません。
しかし、手順を追いながら解体すれば初心者でも決して難しくありません。
続いては、ワタリガニの解体方法について確認していきましょう。
0.下準備
解体に入る前に、ブラシでワタリガニの汚れを落としましょう。
汚れがついた状態で調理してしまうと、砂のジャリジャリ感や生臭さが残ってしまいます。
そのため、下準備として甲羅や脚の隙間をブラシを使って綺麗にすることがワタリガニを美味しく食べるうえで大切です。
1.ふんどしを外す
ワタリガニの腹部についているふんどしを外します。
ふんどしと胴体の隙間に手を入れて、力を加えると簡単に外せます。
2.甲羅を外す
ふんどしを外した箇所に手を入れて、甲羅を外します。
この際、中の汁や蟹味噌が流れ出てしまわないように甲羅を下側に向けて行いましょう。
3.エラを取り除く
甲羅を開くと、中にガニと呼ばれるカニのエラがついています。
胴体側についている白いビラビラがカニのエラです。
エラは衛生面から食べられないため、このタイミングで取り除いておきましょう。
キッチンバサミを使うと取るのは簡単です。
また、エラの下も砂などで汚れている場合があるため、ブラシなどで綺麗にしておくことが大切です。
4.蟹味噌を取り分ける
甲羅には濃厚な蟹味噌がつまっているため、スプーンなどで取り分けます。
また、メスの場合は内子も一緒に取り分けておきましょう。
5.胴体を半分に割る
胴体は包丁で半分に割ります。
半分にできたら、水平方向にも包丁を入れて4等分にしましょう。
6.脚を外す
胴体から生えている脚を取り外します。
関節部分から包丁やハサミを入れるか、手で折るようにして外しましょう。
7.脚を開く
脚が外せたら、包丁で脚の殻を開き身を掻き出します。
殻は大きくないので手を切らないように注意しましょう。
掻き出した身をお皿に盛り付ければ完成です。
ワタリガニの価格相場はどれくらい?
ワタリガニは、1kgで約1,000〜2,000円です。
カニの定番である毛ガニの場合は1kgで約10,000円するため、ほかのカニと比較しても安価なことがわかります。
そのため、手軽にカニを楽しみたい方におすすめのカニといえます。
しかし、ワタリガニに限らず海産物は時期や水揚げの量によって相場は変動するため、一概にはいえない点に注意が必要です。
また、ワタリガニの相場でほかのカニと異なる点として、メスの方が高値をつける傾向にある点が挙げられます。
これは、ワタリガニの内子の評価が高いことに由来するため、メスのワタリガニを食べる際は少し奮発する必要があるでしょう。
ワタリガニの食べ方についてのまとめ
今回は、ワタリガニの美味しい食べ方について紹介しました。
ワタリガニはオスメスによって旬が異なるため、時期に合わせて最適な個体を選ぶようにしましょう。
また、美味しく調理するにはワタリガニを事前に締めておくことも大切です。
下準備をしっかりしておくことで、ワタリガニ本来の旨みを存分に引き出せるため、自宅にいながら美味しいワタリガニ料理を楽しめます。
ワタリガニは蒸しや焼きなどの定番から、唐揚げトマトクリームパスタなどのアレンジ料理にも利用できます。
ぜひ、今回紹介した食べ方を参考に美味しいワタリガニ料理を堪能してみてください。