砂浜でよく見かけるスナガニは、自ら捕獲して自宅で飼育はできるのでしょうか。
スナガニは、生息している環境を再現してあげれば初心者でも飼育可能です。
しかし、どんな環境下やエサで育てるのがよいのかわからないことでしょう。
そこで本記事では、スナガニを長く飼育するための方法や、海で捕獲する方法について紹介していきます。
これから、スナガニを飼育してみたいと考えている方や、すでにスナガニを飼育している方はぜひ参考にしてみてください。
スナガニの特徴
スナガニはスナガニ科に分類される中型のカニで、甲幅は3cmほどです。
甲羅はやや膨らんだ長方形の形をしており、ハサミの一方が大きいのが特徴です。
また、複眼が大きくて視力に優れています。
体色は通常赤色ですが、驚くと黄褐色から黒褐色に変化するというのも一つの特徴です。
スナガニの生息地について
スナガニは、東北地方以南の水の綺麗な砂浜に生息しており、日本以外では東アジアの熱帯や温帯地域に広く分布しています。
数十センチから1メートルほどの深い穴を自ら掘り、そこを巣にして生活しています。
そのため、直径3cmほどの円形の穴を見つければ、スナガニが作った巣穴である可能性が高いでしょう。
スナガニの生態について
スナガニは、夜にエサを求めて行動し、動物の死体や藻類などを食べて生活しています。
昼間はとても警戒心が強く、人間などを見かけると素早く巣穴に逃げ込む習性があります。
また、逃げる際のスピードはかなり早く、人間の小走りと同程度の速度を出すことも可能です。
基本的には海水浴場などでよく見かけられますが、最近では海洋汚染や砂浜が減少している影響などを受けて、その個体が減少傾向にあることが懸念されています。
スナガニの寿命について
スナガニの寿命は3年程度といわれています。
ほかの大型のカニであれば10年以上生きることも珍しくありませんが、スナガニは体が大きくない分、短命です。
飼育下で長生きしてもらうためには、エサやりや環境作りを適切に行う必要があるでしょう。
スナガニのオスメスの判別方法
スナガニのオスとメスを判別するためには、お腹部分についているふんどしを確認すると判別できます。
ふんどしの形が扇形で幅広いのがメスで、三角形で幅が狭いのがオスです。
また、メスは成長するとともに幅が広くなるという特徴を持っています。
スナガニの飼育にあたって押さえておきたいこと
スナガニを飼育する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 生息地と似た環境を作る
- エサは適量与える
それぞれのポイントについて解説していきます。
生息地と似た環境を作る
スナガニは砂浜に生息しているカニであるため、海の砂浜と似た環境を作ることが大切です。
そのため、砂浜のきめ細かな砂をたくさん用意しましょう。
この際、スナガニの特性を考慮して、砂に潜れるほどの深さにしてあげる必要があります。
また、底から5センチ程度の砂には海水を染み込ませることも大切です。
さらに、温度環境は暑すぎず寒すぎないように設定し、夏や冬は冷暖房を駆使して快適な環境を作ってあげるようにしましょう。
エサは適量与える
スナガニは、主に魚や貝などの海の食べ物を食べます。
しかし、たくさん食べてほしいからといって、食べきれない量を与えるのはNGです。
食べ残しがあると腐って、飼育環境が悪くなってしまいます。
腐ったエサが多いと、こまめに掃除しなくてはいけなくなり、飼育の手間がかさみます。
そのため、一回の食事量はスナガニがすべて食べ切れる量にして、一日に2〜3回程度に分けて与えるようにしましょう。
スナガニの捕獲方法
スナガニはとても逃げ足が早いカニであるため、走っているところを捕まえるのは現実的ではありません。
そのため、巣にしている穴を掘って捕まえると捕獲の確率が高まります。
まず、砂浜で直径3cmほどの穴を探します。
このとき、乾いた砂ではなく水分を含んだ波打ち際を探すようにしましょう。
穴を見つけたら、水分を含んでいない乾いた砂を穴に流し込みます。
こうすることによって、穴を掘ったときに穴が砂で埋まって位置がわからなくなることを防ぎます。
目印に沿って穴を掘り進めると、スナガニが姿を現すので、逃げる前に素早く捕まえるようにしましょう。
このとき、空き家で中にスナガニが入っていない場合もあるので、さまざまな穴で試してみることが大切です。
スナガニの捕獲方法をまとめると以下のとおりです。
- 砂浜で直径3cmほどの穴を探す
- 穴に乾いた砂を流し込む
- 流し込んだ砂を目印に掘り進める
- スナガニが出てきたら素早く捕獲する
ぜひ、この方法でスナガニの捕獲に挑戦してみてください。
なお、砂を掘る際はスコップを使うと、スナガニを傷つけてしまう可能性があるため、ある程度掘ったら最後は手で掘ることが大切です。
スナガニの安全な持ち方
スナガニは、大人であっても挟まれるととても痛いため、事前に正しい持ち方を把握しておくことが大切です。
スナガニを持つ際は、親指と人差し指で甲羅の端をつまむように持つと、ハサミが指に届かないため、挟まれる心配はありません。
これは、スナガニ以外のカニでも活かせる持ち方ですので、覚えておくとよいでしょう。
スナガニが見つかりやすい海岸と見つかりにくい海岸の違い
スナガニが見つかりやすい海岸と見つかりにくい海岸は、それぞれ以下のような特徴を持っています。
特徴 | |
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スナガニが見つかりやすい海岸 |
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スナガニが見つかりにくい海岸 |
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スナガニを捕獲する際は、これらの特徴を加味にして適切な海岸を選ぶようにしましょう。
スナガニは乱獲しないようにしよう
昔は多く生息していたスナガニですが、近年は海岸侵食や人工的な砂浜海岸が増えたことによって、その数を減らしています。
そのため、スナガニを捕まえるときは、環境保護のためにむやみやたらと捕獲しないように注意しましょう。
スナガニは食べられる?
スナガニは、主に飼育用として活用されますが食べることも可能で、唐揚げや素揚げにすると絶品といわれています。
お酒の肴としても相性抜群なので、海でたくさん捕まえることができたら、調理して食べてみるのもいいかもしれませんね。
スナガニのほかに飼育用でおすすめなカニ
スナガニ以外で、飼育用としておすすめなカニは以下の種類があります。
- サワガニ
- モクズガニ
- ドワーフクラブ
- アカテガニ
それぞれのカニの特徴について確認していきましょう。
サワガニ
サワガニは、ほぼ日本全域に生息している淡水ガニで、日本人には馴染み深いカニといえます。
甲幅は2〜3cm程度と小柄で、見た目のかわいさから鑑賞用のカニとして高い人気を誇ります。
サワガニが生息する川は水が綺麗なことが条件なため、水の澄んだ川を探せば誰でも発見可能です。
また、体が小さくハサミに挟まれても痛みは少ないため、手掴みでも安全に捕まえられます。
自分よりも大きな岩や石の裏に隠れる習性を持っているため、隠れてそうな場所を探してみるとよいでしょう。
モクズガニ
モクズガニは、上海ガニの同属異種であるため、似たような見た目をしています。
味も上海ガニと似ており、食用としても高い評価を得ています。
また、基本的には淡水域に生息しているため、自ら捕まえて飼育することも可能です。
しかし、モクズガニは地域によって漁獲ルールが異なるため、自ら捕獲する際は必ず地域のルールを確認しなければいけません。
サワガニやスナガニと比較すると体が大きく、飼育する手間はかかりますが、飼育環境を整えれば初心者でも飼育できるでしょう。
ドワーフクラブ
ドワーフクラブは、インドネシアに生息する淡水カニで、種類によってさまざまな体色や模様を持っているのが特徴です。
サイズも小柄で、見た目の鮮やかさから観賞用のカニとして注目を浴びています。
そのため、水槽をおしゃれなレイアウトにして、部屋のインテリアのように飾って鑑賞するという楽しみ方もできるでしょう。
また、性格も温厚で飼育にスペースを取らないことも、飼育に向いているカニといえます。
さらに、ドワーフクラブはオスとメスを同じ環境で飼育することによって、繁殖も可能です。
しかし、お腹を空かせた状態で同じ水槽に入れていると共食いのリスクがあるため、エサやりの頻度や量に気をつける必要があります。
関連記事:初心者でも安心!簡単に飼育できるドワーフクラブの魅力と育て方
アカテガニ
アカテガニは、ベンケイガニ科アカテガニ属に分類されるカニで、真っ赤なハサミを持っているのが特徴です。
大きな物体を見ると巣に隠れたり、手を広げて威嚇したりするなど、その生態を観察するのも面白いでしょう。
また、なんでも食べる雑食性のため、エサに気を使う必要がないのも飼いやすいポイントです。
しかし、アカテガニは不潔な場所で飼育するとストレスがかかり、寿命が短くかるため、なるべく清潔な飼育環境を保つ必要があります。
スナガニの飼育方法や捕まえ方についてのまとめ
今回は、スナガニの飼育方法や捕まえ方について紹介してきました。
スナガニは、海辺の深い砂浜に生息するカニのため、飼育時には砂をたくさん用意する必要があります。
また、底の砂には海水を染み込ませることも大切です。
スナガニを捕獲するときは、砂浜にできた円形の穴を探して掘ることで捕まえられます。
この際、穴の位置を見失わないように乾いた砂を穴に流し込むことと、出てきたスナガニを素早く捕まえる体制を整えておくことが大切です。
ぜひ、近くの海でスナガニを捕まえて、観賞用のペットとして飼育してみてはいかがでしょうか。