カニには、変わった習性を持つ種類が多く存在します。
その中でも、モクズショイは背中に海藻を背負うというユニークな習性を持つカニです。
本記事では、そんなモクズショイの特徴について紹介します。
変わった習性の理由を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
モクズショイとは
モクズショイは、クモガニ科に分類されるカニの一種です。
体全体に生えている毛に、カイメン類や海藻などを付着させる変わった習性があります。
付着させた海藻などが藻屑を背負っているように見えることからモクズショイ(藻屑背負い)と名付けられました。
なお、体に海藻などを付けるのは、周りの景色に擬態して天敵に見つかりにくくするためです。
モクズショイの分布
モクズショイは、相模湾以南の西太平洋や南太平洋、インド洋に広く分布しています。
生息水深は0~220mと幅広く、深いところだと深海にまで達します。
モクズショイとモクズガニの違いは?
モクズショイとモクズガニは、名前が似ていることから共通点があるように思うかもしれません。
しかし、モクズショイはクモガニ科であるのに対して、モクズガニはイワガニ科であるように、分類からして異なります。
また、大きさなどの見た目も異なるため、モクズショイとモクズガニは全く別物の種類であるといえるでしょう。
モクズショイと似た習性を持つカニ
変わった習性を持つモクズショイですが、ほかにも同じような習性を持ったカニが何種類か存在します。
続いては、モクズショイと似た習性を持つカニについて見ていきましょう。
ヨツハモガニ
ヨツハモガニは、クモガニ科に分類されるカニの一種で、甲幅は2.5センチ程度の小型です。
日本では、北海道以南から九州にかけて生息しています。
歩脚と比較してハサミ脚の方が大きいのが特徴です。
モクズショイと同様に、海藻などを甲羅に付けて体をカモフラージュする習性を持ちます。
イソクズガニ
イソクズガニは、クモガニ科に分類されるカニで、モクズショイと同じ習性を持つのが特徴です。
縦長の甲羅をしており、表面は丸い小さな粒々の突起に覆われています。
その表面の突起に、海藻やカイメン類を付着させます。
西日本の海辺に生息しているため、海に行くと周りと擬態したイソクズガニを見つけられるかもしれませんね。
コノハガニ
コノハガニはモガニ科に分類されるカニで、サンゴ礁や岩礁など藻類や海草が多く生えている場所に生息します。
甲長は3センチ程度で、体色は緑色や褐色紅色とさまざまです。
また、額に海藻をつける習性があり、モクズショイのように、藻類や海草に擬態すると発見するのは困難です。
モクズショイは食べられる?
体が小さく可食部が少ないため、モクズショイを食用として利用することはほとんどありません。
しかし、毒性はないので食べられないこともないでしょう。
関連記事:季節によって美味しいカニは変わる!さまざまなカニの旬を解説!
食べるのにおすすめのカニは?
モクズショイは、食用に向いているカニではありません。
そのため、食用として利用するなら以下のカニがおすすめです。
- 毛ガニ
- ズワイガニ
- タラバガニ
- 花咲ガニ
- 紅ズワイガニ
それぞれのカニの特徴について見ていきましょう。
毛ガニ
毛ガニは、クリガニ科に属する食用のカニです。
北海道では、各地域で一年中水揚げされます。
そのため、季節に関係なく新鮮な個体を楽しめるとして高い人気を誇ります。
見た目は、甲羅が丸みを帯びているため、ややずんぐりとした印象です。
また、甲羅には細かい毛が生えているのも、毛ガニの特徴の一つです。
毛ガニは大型種のタラバガニなどに比べると小ぶりですが、その代わりに身の甘みが豊かで、高品質な味わいが楽しめます。
さらに、蟹味噌も美味しく、甲羅焼きなどの蟹味噌を使用した料理でもその魅力を感じられるでしょう。
ズワイガニ
ズワイガニは、ケセンガニ科に属する大型の食用カニです。
細長い脚が特徴で、オスの方が体は大きく成長します。
そのため、オスは身が豊富で市場価値が高く、ブランドによっては4万円を超える高値で取引させることも。
しかし、メスにはオスにはない内子や外子がついているため、メスにもオスとは異なる魅力があります。
身はとても繊細で甘みが強いため、しゃぶしゃぶや鍋で楽しむと、ズワイガニの魅力をより感じられるでしょう。
タラバガニ
タラバガニは、タラバガニ科に分類される甲殻類です。
カニと名前がつきますが、生物分類学上はヤドカリの仲間です。
そのため、目立つ脚が8本のみなど、ヤドカリに見られる特徴を持っています。
また、脚を広げると1メートルを超える大型の甲殻類であるのも特徴です。
豊満な脚に詰まった豪快な身は、とても食べ応えがあり絶品です。
タラバガニを食べる際は、食べ応えを存分に味わえる焼きガニで食べると、タラバガニの魅力を十分に堪能できるでしょう。
花咲ガニ
花咲ガニは、タラバガニ科の甲殻類で、タラバガニ同様ヤドカリの仲間に分類されます。
そのため、タラバガニと特徴が似ているものの、サイズはタラバガニよりも小柄です。
名前の由来は諸説あり、漁獲地である花咲港から来た説や、茹でたら花が咲いたように甲羅が赤くなるからという説が一般的です。
また、生息域が狭いことや漁期が決められていることから水揚げ量が少なく、希少価値の高いカニとしても知られています。
身は豊満で弾力があり、食べ応え抜群です。
そのため、身を豪快に味わいたい方は、花咲ガニを通販などで取り寄せて楽しんでみてはいかがでしょうか。
紅ズワイガニ
紅ズワイガニはズワイガニよりも漁獲量が多く、たくさん獲れるため、安価でカニを楽しみたい方におすすめです。
身は水分が多く、瑞々しさを感じられます。
また、甘みも強いため、安いからといって品質が悪いわけではありません。
カニの美味しさをリーズナブルに味わいたい方は、ぜひ紅ズワイガニを選択してみてはいかがでしょうか。
モクズショイは飼育できる?
モクズショイは、小柄な体型と個性的な習性から飼育に向いているカニです。
ポピュラーなカニではありませんが、ペットショップや通販で販売されているケースもあります。
寿命は1〜2年程度で、エサは乾燥餌を水で戻したものを少量あげるとよいでしょう。
また、小型の生物を食べてしまったり、同じ甲殻類の生物と喧嘩したりする可能性があるため、飼育する際は単体で飼育するのがおすすめです。
価格も安いので、ぜひ1匹飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。
関連記事:魅力満点!初心者でも簡単に始められるカニの飼育方法と注意点
飼育におすすめのカニは?
モクズショイは、自宅での飼育に向いているカニといえますが、ほかにも飼育に適したカニは存在します。
特に、以下のカニは飼育におすすめです。
- サワガニ
- ドワーフクラブ
- スナガニ
- アカテガニ
- キンチャクガニ
それぞれのカニの特徴について見ていきましょう。
サワガニ
カニの飼育をこれから始めてみたい初心者の方には、サワガニがおすすめです。
サワガニなら、サイズが小さく飼育コストがかからないため、初心者の方でも比較的簡単に飼育できます。
しかし、水の綺麗な場所を求める習性があるため、水質管理は徹底して行わなければいけません。
それでも、雑食性であることなども飼育するうえで金銭的な負担を抑えられるでしょう。
ドワーフクラブ
ドワーフクラブは、インドネシアに生息する色彩豊かな小型のカニです。
多くの種類が存在しており、それぞれで体色が異なるため、自分好みのカニを選択できます。
また、ドワーフクラブを飼う水槽をアレンジするのも楽しみの一つです。
見た目もカラフルで部屋に置いておくだけで映えるので、飼育目的だけでなくインテリアとしての楽しみ方もできるでしょう。
スナガニ
スナガニはスナガニ科に分類されるカニで、東アジアの砂浜海岸に生息しています。
3センチほどの甲幅と、大きな複眼が特徴的です。
日本では東北地方以南の砂浜に生息しているため、自ら捕獲して飼育ができます。
また、数十センチから1メートルの深い砂を掘って巣にする習性を持っているため、飼育の環境でも深い砂を用意してあげる必要があります。
それでも、生息域も広く自ら捕獲して飼育を始められるため、初心者におすすめのカニといえるでしょう。
アカテガニ
アカテガニはベンケイガニ科に分類されるカニの一種で、日本では本州から南西諸島にまで分布します。
自然界では、家に侵入したり気によじ登ったりするなど高所に登る習性を見られます。
名前のとおり手が赤いのが特徴で、飼育下では、その赤い手で敵を威嚇する行為の観察もできるでしょう。
サイズも多くないため、カニの飼育を始める方は、アカテガニから入ってみるのもおすすめです。
キンチャクガニ
ユニークな生態を持つカニを飼育したいなら、キンチャクガニがおすすめです。
キンチャクガニは、オウギガニ科に分類される小型のカニで、インド熱帯太平洋に生息しています。
普段から両手にイソギンチャクを付けて生活していることから、ポンポンクラブやボクシングクラブと呼ばれることもあります。
ポンポンをつけて応援しているチアリーダーのような見た目は、見るものを癒してくれるでしょう。
ぜひ、可愛らしいキンチャクガニを自宅で飼育してみてはいかがでしょうか。
関連記事:キンチャクガニの飼育方法は?エサや適切な水温について解説!
モクズショイについてのまとめ
今回は、背中にカイメン類や海藻を背負う変わった習性の持つモクズショイについて紹介しました。
モクズショイが背中に海藻などを付着させるのは、周りに擬態して外敵から狙われないようにするためです。
このように習性がユニークなため、飼育して観察するのも面白いでしょう。
また、サイズが小柄で手間がかかりづらいのも飼育におすすめの理由です。
興味のある方は、ぜひモクズショイの飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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