漁獲量が少なく、幻のカニと呼ばれる「ドウマンガニ」。
希少であるためなかなか口にする機会のないカニですが、濃厚な身が絶品として高い人気を誇ります。
本記事では、そんなドウマンガニの味や旬について紹介します。
また、ドウマンガニを使ったおすすめ料理についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
ドウマンガニとは
ドウマンガニという名は、水揚げされる地元で呼ばれている愛称であり、正式名称は「トゲノコギリガザミ」といいます。
ドウマンガニはワタリガニの仲間に分類されますが、ワタリガニ科のなかでも最大級の大きさを誇るのが特徴です。
大型になると甲幅が20センチを超え、重さも2キロ以上になります。
一般的なワタリガニの甲幅は15センチ程度のため、ドウマンガニはかなり大型の種であることがわかるでしょう。
甲羅は楕円形をしているのが特徴で、丸くて大きいを意味する「胴丸」が訛ってドウマンと呼ばれるようになったとされています。
また、長生きする個体では3〜4年程度生きるとも推定されています。
ドウマンガニの産地は?
ドウマンガニは静岡県の浜名湖が名産ですが、ほかにも沖縄県や高知県、愛知県と各地で水揚げされています。
水揚げされる地域によって呼び名が異なるのも特徴で、沖縄県ならマングローブガニ、高知県ではエガニの愛称で親しまれています。
海外では東南アジアやオーストラリア、インド洋西部に広く分布していますが、マングローブ地帯に多く生息することから、現地ではマングローブクラブと呼ばれているのが特徴です。
ドウマンガニの旬は?
ドウマンガニは、オスとメスで美味しく食べられる旬の時期が異なります。
オスは爪が大きく成長する夏が旬であるのに対して、メスは濃厚な内子をつける秋が旬です。
そのため、ドウマンガニを食べる際は、季節によって美味しい性別を選ぶのがよいでしょう。
ドウマンガニの価格相場は?
ドウマンガニは水揚げ量が少ないことから、希少価値の高い高級食材としても知られています。
そんなドウマンガニの価格相場は、1杯で約1万円です。
決してお手頃な価格ではないため、産地に赴いた際の贅沢として食べてみるのがよいでしょう。
ドウマンガニは爪の力が強い!
ドウマンガニは出荷する際に爪を縛るのが義務付けられているほど、爪の力が強いのが特徴です。
貝の殻程度なら簡単に砕くほどの力があります。
そのため、ドウマンガニに触れる際は爪に挟まれないように細心の注意が必要です。
ドウマンガニはどんな味?
ドウマンガニの身は、硬い甲羅と爪の中にたくさん詰まっており大変濃厚です。
引き締まった身は食感も良く甘みも強いため、チャーハンやサラダによく使用されます。
また、メスの内子はとてもクリーミーで磯の香りが味わえる絶品です。
ほかにもしっとりとした蟹味噌など、ドウマンガニは身以外にも多くの魅力を持っています。
ドウマンガニはなぜ幻のカニと呼ばれている?
ドウマンガニが幻のカニと呼ばれるのは、希少価値の高さからです。
日本でも水揚げされる地域が限られているうえに、産地である浜名漁協でも1日に50〜60匹しか水揚げされていません。
そのため、なかなかお目にする機会がなく「幻のカニ」と呼ばれています。
しかし、最近では水揚げ量も安定してきており、一昔前ほどではなくなっています。
ドウマンガニの美味しい食べ方は?
濃厚な身を持つドウマンガニは、さまざまな料理と相性抜群です。
続いては、ドウマンガニの美味しい食べ方について確認していきましょう。
蒸して食べる
蒸しガニは、ドウマンガニのスタンダードな食べ方です。
蒸すことで、ドウマンガニ本来の甘みを堪能できます。
ドウマンガニを蒸す方法は以下のとおりです。
- ふんどしに塩を入れて味付けする
- 蒸し器や大きめの鍋に水を入れて沸騰させる
- ドウマンガニの甲羅を下にして15〜20分程度蒸す
- 粗熱を取って完成
蒸されて赤く染まった甲羅は、見た目からも楽しめるでしょう。
ぜひ、ぷりぷりの身と濃厚な内子を合わせて楽しんでみてください。
茹でて食べる
ドウマンガニは、シンプルに茹でて食べても絶品です。
ドウマンガニを茹でる方法は以下のとおりです。
- 鍋にドウマンガニが浸かる程度の水と塩を適量入れる
- ドウマンガニの甲羅を下にして中火で15分程度茹でる
- 粗熱を取ったら完成
茹でて食べることで、ドウマンガニの甘みがより引き立ちます。
旨みが詰まった柔らかい身をぜひ堪能してみてください。
味噌汁で食べる
ドウマンガニの旨みは、汁物と相性抜群です。
ドウマンガニの味噌汁の作り方は以下のとおりです。
- 鍋に水を入れて沸騰させる
- 沸騰したらぶつ切りにしたドウマンガニを鍋に入れる
- ドウマンガニに火が通ったら味噌を入れて味付けする
- お好みでネギや三つ葉を入れて完成
ドウマンガニから取れる蟹味噌を加えることで、よりまろやかで濃厚な味わいとなります。
ぜひ自分好みにアレンジしてみてください。
カニ飯で食べる
ドウマンガニの旨みが染み込んだカニ飯は、一度食べたらクセになる味わいです。
ドウマンガニのカニ飯の作り方は以下のとおりです。
- 炊飯器で米と一緒にドウマンガニ・醤油(大さじ1)・塩(小さじ1)・酒(大さじ2)を入れて炊飯する
- 炊き上がったら身と米をほぐして完成
ドウマンガニの風味とお米がマッチして絶品です。
身を合わせて炊くだけなので、手軽に調理できるのも魅力です。
トマトパスタで食べる
ドウマンガニを洋風の味付けで楽しみたい方は、トマトパスタと合わせるのがおすすめです。
ドウマンガニのトマトパスタの作り方は以下のとおりです。
- 鍋にお湯と塩を入れてパスタを茹でる
- ドウマンガニをぶつ切りにしてフライパンで蒸す
- ドウマンガニに火が通ったらトマトの水煮を入れて煮詰める
- 薄口醤油と塩胡椒で味付けする
- 茹で上がったパスタとドウマンガニをお皿に取り付けて完成
さらにアレンジを加えたい方は、ドウマンガニの蟹味噌を合わせることで、より濃厚な味わいとなります。
唐揚げで食べる
ドウマンガニの旨みと食感を味わいたい方は、唐揚げがおすすめです。
ドウマンガニの唐揚げの作り方は以下のとおりです。
- 4等分にしたドウマンガニを料理酒と醤油に合わせて揉み込む
- 揉み込んだドウマンガニはラップをして冷蔵庫で15分放置する
- 15分後ドウマンガニに片栗粉をまぶして170℃に熱したフライパンで7分程度揚げる
- お皿に盛り付けて完成
しっかりと揚げ込むことで、パリパリとした食感を楽しめるでしょう。
チャーハンで食べる
甘みの強いドウマンガニの身は、チャーハンと相性抜群です。
ドウマンガニのチャーハンの作り方は以下のとおりです。
- 熱したフライパンに油を引き溶き卵を流し入れる
- フライパンに冷ご飯を入れ卵と混ぜ合わせる
- ドウマンガニの身を入れて炒める
- 身とご飯が混ざったらお皿に盛り付けて完成
カニの風味豊かなチャーハンをぜひ楽しんでみてください。
サラダで食べる
ドウマンガニの繊細な身は、さっぱりとしたサラダにおすすめです。
ドウマンガニのサラダの作り方は以下のとおりです。
- ドウマンガニの殻を剥き身をほぐしておく
- キュウリやレタスなど野菜をお好みで用意して和える
- ドウマンガニの身とマヨネーズを和える
- 和えたドウマンガニの身と野菜の上に盛り付けて完成
サラダにドウマンガニを加えるだけで、食卓に高級感がプラスされます。
お好みのドレッシングをつけていただきましょう。
ドウマンガニは締めてから調理する
ドウマンガニを美味しく調理するために大切なのが、締めてから調理することです。
締めるとは生きたカニを仮死状態にすることで、調理時にこの作業を行わないとドウマンガニの美味しさが半減してしまいます。
ドウマンガニを生きたまま茹でたり蒸したりすると、カニの防御反応として自切が起こります。
自切とはカニが身の危険を感じた際に、自らの手足を切り落とす行為です。
この自切が起こってしまうと、切り落とされた手足からドウマンガニの旨み成分が逃げ出してしまいます。
そのため、ドウマンガニを調理する際は、事前に締めて自切が起こらないようにしておく必要があります。
ドウマンガニを締める方法
カニを締める際の一番オーソドックスな方法が、口で締める方法です。
千枚通しやアイスピックのような鋭利なものをドウマンガニの口に差し込むことで、ドウマンガニを締められます。
口に千枚通しやアイスピックを差し込んだら、ぐりぐりと奥までねじ込むことで確実に締められるでしょう。
締めが甘いと鍋の中で自切が起こってしまうため、動かなくなるまで行うことが大切です。
ほかにも、氷6・水4の割合の氷水に10分間つける方法や、冷凍庫に30分程度入れる方法などもあるため、自分に合った締め方を探してみてください。
関連記事:カニに神経締めは必要?やり方と注意点について詳しく解説!
ドウマンガニは誰でも捕獲できる?
一般的なワタリガニであれば、専用の仕掛けを用意して釣り上げることで誰でも捕獲できます。
しかし、ドウマンガニは乱獲を防止するために漁業権が定められている場合があります。
地域によってルールは異なるため、ドウマンガニを狙う際は事前に確認が必要です。
ドウマンガニの味や旬についてのまとめ
ドウマンガニは、限定的な地域でのみ水揚げされる希少なカニです。
水揚げ量が少ないことから幻のカニと呼ばれ、高級カニとしても知られています。
そんなドウマンガニはオスとメスで旬が異なるのが特徴で、オスはハサミが大きくなる夏に、メスは濃厚な内子をつける秋に旬を迎えます。
そのため、季節によって購入するドウマンガニの性別を変えることで、より美味しく食べられるでしょう。
また、ドウマンガニの味はとても濃厚で旨みが強いため、一度食べたら病みつきになる味わいです。
さまざまな料理と相性がよいので、ドウマンガニを手に入れたら、ぜひお好みのアレンジ料理で楽しんでみてください。