カニが成長するうえで必要不可欠なのが脱皮です。
カニは、脱皮を繰り返すことで体を大きくしていきます。
しかし、脱皮は必ずしも成功するわけではありません。
本記事では、カニが脱皮に失敗する原因や脱皮を成功させるための対策について紹介します。
カニを飼育している方は、ぜひ参考にしてみてください。
カニはなぜ脱皮をするのか
カニに限らず、節足動物は脱皮をする習性を持っています。
それは、体を大きく成長させるためです。
カニは、硬い殻を脱ぐことで、殻が柔らかくなります。
殻が柔らかくなると、以前よりも体が大きく成長できるため、脱皮を繰り返すことで大きくなります。
このように、カニが成長するためには脱皮は欠かせない行為です。
脱皮に失敗するとどうなる?
脱皮に失敗すると、カニにさまざまな問題が生じます。
まず、脱皮時に引っかかり、綺麗に脱げない場合、ハサミや脚を失ってしまう可能性があります。
また、脱皮にエネルギーを使いすぎてしまって、そのまま死んでしまうケースも少なくありません。
そのため、脱皮に失敗することで、カニの生存に関わる多くのリスクを背負うため、脱皮が成功するかどうかは、カニとって大きな要素といえるでしょう。
カニが脱皮に失敗する原因
カニが脱皮に失敗する原因を知ることで、安全な脱皮のサポートができます。
一方で、失敗する原因を知らなければ、上手く脱皮できずに、大切なカニを死なせてしまう可能性も考えられるでしょう。
そうならないためにも、カニが脱皮に失敗する原因について確認していきましょう。
室温や水温の急激な変化など
カニはとても繊細なため、室温や水温などの急激な変化を受けると、脱皮できない可能性があります。
また、大きな音なども脱皮を妨げる原因となるでしょう。
すでに弱っている
飼育環境が良くなく、カニがすでに弱ってしまっている場合、脱皮に失敗する可能性が高いでしょう。
また、脱皮には多くのエネルギーを使うため、すでに弱っていると必要な体力を使い果たしてしまい、死んでしまうケースも考えられます。
皮が殻に引っかかってしまう
脱皮中に皮が殻に引っかかってしまい、綺麗に脱皮できないことがあります。
綺麗に脱皮できないことで、ハサミや脚など体の一部を失うことも珍しくありません。
カニが脱皮をする兆候
カニが脱皮する兆候が分かれば、対策を取りやすくなります。
続いては、カニがどのような兆候を見せたら脱皮をするのかについて見ていきましょう。
エサを食べなくなる
カニは脱皮を控えると、エサを食べる量が少なくなる傾向にあります。
そのため、数日前からエサに手をつけることが少なくなってきていたら、脱皮をする兆候として考えられるでしょう。
物陰に隠れるようになる
カニは脱皮が近づくと、物陰に隠れて脱皮に備えるようになります。
そのため、カニが物陰から出てこなくなったらなるべく刺激を与えないように意識しましょう。
カニが脱皮を失敗しないための対策
カニが脱皮で失敗しないためには、適切な対策が大切です。
飼育しているカニが脱皮に失敗して弱ってしまわないためにも、一つずつ確認していきましょう。
環境を整える
脱皮で失敗しないためには、室温や水温をカニにとって最適な温度に整えてあげることが大切です。
飼育環境が適切でなければ、カニにストレスがかかり、脱皮が上手くできません。
また、音や光など外部の刺激も脱皮を妨げる原因となります。
そのため、カニを飼育する際は、カニが快適に暮らせるように環境を整えることを徹底しましょう。
混泳させない
カニが脱皮すると殻が柔らかくなるため、ほかの甲殻類に狙われやすくなります。
そのため、同じ水槽でカニを複数匹飼育していると共食いによって命を落としてしまう可能性があります。
共食いを防ぐためには、同じ水槽で混泳をさせないことや、脱皮の際はほかの水槽に移動させることが大切です。
脱皮の頻度は?
脱皮の頻度は、成長するにつれて低くなります。
生まれたばかりのカニであれば、1年に2〜3回程度脱皮しますが、大人のカニであれば、脱皮するのは1年に1回程度です。
しかし、脱皮の頻度はカニの種類によっても異なるため、一概にこの頻度だとはいえないでしょう。
脱皮にはどれくらい時間がかかる?
脱皮にかかる時間は、カニの種類によって異なります。
例えば、飼育用としても人気のサワガニでは、脱皮は30分以内に終わるとされています。
しかし、節足動物の中で最大といわれるタカアシガニでは、脱皮に6時間程度必要です。
このように、脱皮の時間はカニの種類によって大きな差があるとわかるでしょう。
カニの飼育で脱皮以外に気をつけるべきこと
カニの飼育は、脱皮以外にも気をつけなければいけないことがあります。
続いては、カニの飼育で脱皮以外に気をつけなければいけないことについて確認していきましょう。
水質管理をしっかりする
脱皮にも重要な要素ですが、水質管理は飼育をするうえでの基本です。
水質が悪いとカニは健康を害したり、ストレスを溜めたりします。
その結果、よりよい環境を求めて脱走を試みたり、最悪の場合死んでしまうことも考えられます。
そのため、こまめな水替えを徹底して水質の管理を怠らないようにしましょう。
飼育環境を自然の環境と合わせる
カニが普段生活している環境と飼育環境が剥離していると、カニは長生きできません。
そのため、砂浜に棲むカニなら陸に砂を用意するなど、カニが普段生活する環境を再現してあげましょう。
エサを与えすぎない
エサを与えすぎると、食べ残しから水質汚染につながります。
そのため、たくさん食べてほしいからといって多めにエサを与えることはしないようにしましょう。
また、食べ残しが発生した際は、都度ピンセットなどで回収することで、水質汚染を防げます。
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カニの美味しさと脱皮は深い関係がある!
カニは脱皮からどれくらいの時間が経過しているかで、品質が異なります。
基本的に、脱皮から経過している時間が長いカニの方が美味しいとされています。
続いては、脱皮からの時間とカニの品質の関係について見ていきましょう。
堅ガニ
堅ガニとは、脱皮直前で身がたくさん詰まっているカニを指します。
身入り率が90~100%であることが一つの目安です。
カニは脱皮をすることでエネルギーを使用するため、脱皮直後のカニは身入りがよくないとされています。
また、脱皮直後はサイズに見合った身がついていないことも、身入りが悪い理由の一つです。
そのため、脱皮直前でエネルギーが存分にあり、体に見合った身がついている堅ガニは高品質のカニとして高値で取り引きされます。
若上ガニ
若上ガニは身入り率80~90%のカニで、堅ガニよりは劣りますが、身が十分に詰まった高品質のカニです。
堅ガニよりも価格が安いため、手を出しやすいのが特徴です。
品質も申し分ないため、贈答用などでよく利用されます。
若ガニ
若ガニは身入り率が60~80%のカニで、家庭で一般的に食べられるランクのカニです。
贈答用には向かないため、自宅で家族などと楽しむ用に購入するとよいでしょう。
脱皮ガニ
脱皮ガニは身入り率が50%以下のカニです。
脱皮直後のカニを使っているため、身が少なく品質面でほかのランクのカニより劣ります。
主に加工品で使用されるため、実際に購入できる機会はあまりありません。
しかし、中には訳アリ品として販売されているケースもあり、普通のランクのカニよりもかなり格安で購入できます。
そのため、カニをなるべく安価で購入したい方は、あえて脱皮ガニを選んでみるのもよいでしょう。
脱皮から時間の経過しているカニを見分ける方法は?
先述のとおり、カニは脱皮から時間が経過している個体の方が身入りが良く高品質です。
そのため、カニを購入する際は、脱皮直前のカニを選択できるとお得にカニを楽しめます。
続いては、脱皮から時間の経過しているカニの見分け方について確認していきましょう。
甲羅の硬さ
脱皮から時間の経過しているカニを見分ける一つ目の方法は、甲羅の硬さです。
カニの甲羅は、脱皮直後柔らかくなるため、甲羅の硬い個体の方が脱皮から長い時間が経過しているといえます。
そのため、カニを購入する際は、実際に甲羅を手で押してみて甲羅の硬さを確認するとよいでしょう。
カニビルの卵の多さ
カニの甲羅には、カニビルという寄生虫の卵が産みつけられていることがあります。
このカニビルの卵は、甲羅にたくさんついていればいるほど、脱皮から時間が経過しているといわれています。
その理由は、脱皮をするとつけられたカニビルの卵も綺麗に取れてしまうためです。
そのため、カニビルの卵がついていない綺麗な甲羅は脱皮直後のカニで、カニビルの卵がたくさんついているカニは、脱皮直前のカニである可能性が高いでしょう。
しかし、水揚げされる地域によってカニビルの卵のつきやすさは異なるため、あくまで一つの目安として確認するようにしましょう。
カニが脱皮に失敗する原因や対策についてのまとめ
本記事では、カニが脱皮に失敗する原因やその対策について紹介しました。
カニにとって脱皮は不可欠ですが、飼育環境や外的要因によっては失敗してしまうケースがあります。
カニは脱皮に失敗すると、最悪の場合死に至るケースもあるため、飼育下での脱皮はとても重要です。
カニがストレスなく脱皮するためには、室温や水温を整えたり、水質を改善したりと飼育環境の整備は必要不可欠です。
そのため、飼育下ではカニが脱皮する兆候を見逃さないことも大切になるでしょう。
ほかにも、脱皮の兆候が現れたら安全な水槽に移動して混泳を避けるなどの対策があります。
カニを飼育している方は、ぜひ本記事の内容を参考に脱皮を失敗しないためのアプローチを行いましょう。