生魚や生牡蠣、生ガニといった新鮮な生の海鮮が好きだという日本人は多いことでしょう。
しかし、海鮮好きにとって気になるのが食中毒ですよね。
生は美味しいけれど、それだけ食中毒のリスクが高いのも事実です。
万が一当たってしまうとと思うと、怖くて生はなるべく避けているという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は当たると怖いカニについて以下の内容でご紹介していきます。
- カニでなる可能性のある食中毒
- 食中毒の予防法
- 食中毒になりやすいカニの特徴
そのほかにもカニの適切な保存方法などについても紹介していきます。
食中毒は適切な予防によって発症率を下げることができるので、カニを食べる前にぜひ一度確認してみてくださいね。
カニを食べることで起こる食中毒
カニを食べることで引き起こされる食中毒は主に以下の2つです。
- 腸炎ビブリオ食中毒
- ナグビブリオ食中毒
それぞれの特徴とどういった症状が起こるのかを詳しくみていきましょう。
腸炎ビブリオ食中毒
海水の中に生息している細菌で、腸炎ビブリオ菌に感染した魚介類を生で食べることによって人に感染し、腸炎ビブリオ食中毒を発症します。
腸炎ビブリオ食中毒はサルモネラと並び、発症件数が最も多い食中毒です。
生魚を食べる文化がないところでは馴染みの薄い食中毒ですが、近年の寿司や刺身の普及によって世界中でその数を増やしています。
腸炎ビブリオ食中毒の症状
腸炎ビブリオ食中毒の潜伏期間は12時間程度といわれています。
主な症状としては強烈な腹痛や水様性の下痢があり、まれに血便を起こすこともあります。
下痢は1日に数回から数十回の頻度で起きますが、1日程度で回復に向かいます。
腹痛以外には37℃〜38℃の発熱や、嘔吐・吐き気があり、高齢者に関しては死に至ったケースもあるので注意が必要です。
腸炎ビブリオは特に抗菌薬治療などを行わなくても数日で回復するといわれています。
ナグビブリオ食中毒
ナグビブリオ菌は海水よりも塩分濃度が低いとされる下水や河川水が入ってくる沿岸汽水域に生息しており、水温が上昇する夏場に増殖するといった特徴を持っています。
こちらも魚介類を生で食べることによって人に感染し発症するケースがほとんどです。
そのほかにも、飲料水汚染が起こるような衛生状態がよくないところで、さまざまな食品を介してナグビブリオ食中毒の感染が起こっています。
ナグビブリオ食中毒の症状
ナグビブリオ食中毒の潜伏期間は体に侵入してから数時間〜72時間なので、その時間内に症状が起こります。
腹部の不快感から始まり、腹痛、嘔吐、下痢などさまざまな症状を引き起こします。
下痢は水様性のものから軟便程度のもの、酷いと血便を起こすこともあるのが特徴です。
38℃程度の発熱も症状の一つです。
ナグビブリオ食中毒は一般的に1週間程度で回復に向かいますが、基礎疾患を持つ方や39℃以上の発熱が見られる方には抗菌薬を投与する必要があります。
カニで食中毒にならない方法は?
カニで辛い食中毒にならないためは、調理前や調理後に意識して気をつけなければいけないことがいくつかあります。
続いてはカニで食中毒にならないために気をつけることについて紹介していきます。
しっかり加熱する
食中毒にならないためには、しっかり加熱をしてカニが持っている菌を殺菌しなければなりません。
万が一カニに菌が付着していたとしても、しっかりと熱を通すことで食中毒の発症リスクを減らすことができます。
解凍後はすぐに食べる
解凍して温度が高くなると、細菌は時間の経過とともに増殖していきます。
そのため、解凍後はなるべく日を跨がず、すぐに調理して食べるようにしましょう。
調理前後に器具をしっかり洗う
使用した包丁やまな板に菌がついていると、そこから感染するおそれがあります。
そのため、調理を始める前や調理後は必ず水で丁寧に洗うことが大切です。
生物用と普段使い用でまな板などを分けておくのも有効です。
生食用や刺身用ではないカニを生で食べない
通販などでは生食用や刺身用と書かれたカニが売られていますが、それらはしっかりと雑菌がされており、なおかつ鮮度が良いカニを厳選しています。
なので、それらの表示がないカニは熱を通すことを前提としているため、生で食べるのはとても危険です。
カニに寄生虫はいる?
海に住む生物を食べるとき、食中毒の原因にもなるのが寄生虫です。
寄生虫による食中毒の症状は発熱や腹痛がよく聞かれます。
では、カニにそんな症状を引き起こす危険な寄生虫はいるのでしょうか。
こちらもみていきましょう。
海に生息するカニ
タラバガニやズワイガニといった海に生息するカニには危険な寄生虫は存在していません。
カニの甲羅についているカニビルと呼ばれる黒いぶつぶつは寄生虫の一種ですが、甲羅についているのは卵であり、成体ではないため危険性はありません。
そのほか、気をつけるような寄生虫は海に生息するカニにはつかないのでその点は安心です。
川に生息するカニ
川に生息する食用のカニにサワガニやモクズガニがいますが、これらのカニには肺吸虫や大複殖門条虫が寄生している恐れがあります。
どのような症状が出るのか見てみましょう。
肺吸虫
肺吸虫(はいきゅうちゅう)はその名前の通り肺に寄生することによってさまざまな呼吸器症状を引き起こします。
症状は肺を覆う膜の炎症である胸膜炎や、肺に穴が開く気胸などで、大抵の場合は重症化する怖い寄生虫です。
大複殖門条虫
大複殖門条虫(だいふくしょくもんじょうちゅう)は感染した魚を食べることによって発症します。
大複殖門条虫症を発症すると下痢や腹痛といった症状が引き起こされます。
ただし、肺吸虫症より症状は軽く、なにも症状が出ないといった場合も。
予防するにはしっかりと加熱をして、触れたものは水洗いを徹底するようにしましょう。
カニの保存方法
カニで当たらないためにも適切な保存方法で保管することが大切です。
間違った方法で保存をしていて、食中毒になってしまったということがないように確認をしておきましょう。
生ガニ
生ガニは生のまま保存しておくと酸化によってすぐに黒く変色をしてしまいます。
必ず茹でてから保存するようにしましょう。
また保存可能期間は冷蔵庫の場合、2日〜3日程度、冷凍庫の場合は1ヶ月程度といわれています。
生ガニに関しては長い時間置いておかず、なるべく早く食べるようにするのが安全です。
茹でガニ
茹でガニはラップを3重程度に包んで、冷蔵庫か冷凍庫で保存するようにしましょう。
このとき保存中に水分が抜けてしまわないように、なるべく密封した状態にする必要があります。
茹でガニはすでに一回茹でられているため、保存時に再度茹で直す必要はありません。
再び茹でることによってカニの旨味成分が抜けてしまうからです。
保存可能期間は冷蔵庫で2日程度、冷凍庫で3日程度と短めですので、長期間の保存をしないように注意しましょう。
冷凍ガニ
冷凍ガニは食べる分だけ解凍して、残りの部分はラップに包んで冷凍庫で保存するようにしましょう。
保存可能期間は、冷凍庫で2〜3週間程度といわれており、冷凍ガニは冷蔵庫での保存には適していません。
必ず冷凍庫で保存するようにしましょう。
発症すると怖い甲殻類アレルギー
そのほかカニが原因で引き起こされるものの一つに甲殻類アレルギーがあります。
これはカニを食べたことで発症するというよりは、もともと持っていたアレルギーが顕著に表れるケースがあるということです。
実際大人になってから発症するケースも珍しくありません。
卵や牛乳、小麦といったメジャーなアレルギーであれば、年齢を重ねることで耐性がだんだんとついていきます。
しかし、甲殻類アレルギーは大人なっても耐性がつきにくいという特徴を持っています。
発症すると、蕁麻疹や呼吸困難、嘔吐まどさまざまな症状を引き起こします。
重症になると命に関わるアナフィラキシーショックを引き起こす頻度が高くなるので、非常に危険なアレルギーです。
初めて症状が出た場合には、早めに病院で検査してもらうようにしましょう。
カニは通販で安全に購入しよう
カニを通販で購入するときに気になるのが鮮度です。
カニの名産地である北海道産のカニを購入したときなんかは、家に届くまでに傷んでしまっていないか特に気になるかと思います。
しかし、通販の冷凍されたカニはクール便の環境が整っているため、少し溶けてしまっていたなんてことはありません。
そのため食中毒の危険性は少なく、安全に食べることが可能です。
ですが解凍後は菌が繁殖する可能性があるので、できれば当日中には食べてしまうようにしましょう。
カニを購入するときは通販で安全に購入することをおすすめします。
当たると怖いカニの食中毒についてのまとめ
今回はカニを食べるときに考えなければいけない食中毒のリスクについて紹介してきました。
最後に本記事の内容をまとめてみましょう。
- カニによって起こる食中毒は腸炎ビブリオ食中毒とナグビブリオ食中毒の二つ
- 食中毒を防ぐためには生で食べないことやしっかり加熱することが大切
- 川のカニには寄生虫がいる可能性があるから注意が必要
食中毒は年齢によっては死に至るケースもあるなど、かなり危険な症状です。
カニに限らず魚介類を食べる際には食中毒にならないように細心の注意を払う必要があります。
通販などでカニを購入する際はなるべく冷凍のものを選び、解凍後はすぐに食べてしまうなどの食中毒対策は万全にしておきましょうね。